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〈No side〉

「クソバカツキ!!」

ガン、というなにかを蹴りつけた音とともに、
そんな怒鳴り声が辺りに響き渡った。
その音源は、悔しげにうつむいて、
生け贄の台の柱のようなものを蹴り続けるアンヤ。

「落ち着けアン坊。配役の変更はあったがこれはちゃんと予定通りだ」
「どこがだよ!! ただ連れ去られただけじゃねーか!!
 あいつらのアジトもわかんねーのに」
「わかる」

自棄(ヤケ)のように怒鳴るアンヤの発言を、
ユズは秒と経たぬうちに否定した。
呆けたようにユズを振り返るアンヤに、念を押すようにはっきりと口にする。
プレート状の機械を取り出して。

「アジトならわかる」

自信のようなそれではない確信を持った声音に、その場にいたものは困惑した。
ユズは気にせず続ける。

「あっきーがいつも首から下げてるカード。アレに発信機をつけておいた」
「な···」

そう。つまり彼女が持つ機械はその受信機なのだ。
それを掲げるようにして言う。

「地の果てでも追えるよ。
 逃がすものか。絶対」

形良い唇とともに。
狂気を秘めたその目で語る。
 
 
―――
――――――
――――――――――――

「なんで!? なんで来たんです入出君!」
「うるさいわ。黙ってよ。あとあなた、その銃捨てて。
 こいつら処分するわよ」

連れ去られた三人。
必死な表情で迫るレオを、キッカが一喝した。そして、武器の放棄を要求する。
それとともに揺らぐ足場。
ここは鬼の手のひらの上。文字通り、手の内にいるのだ。
揺らぐ足場は、鬼からの警告。
“いつでも、握りつぶせるぞ”という。
仕方なく彼は銃を放った。彼方の地面に黒い鉄の塊は落ちていく。

「レオさん、そんな顔しないでください。大丈夫です。なんとかなりますよ」
「なんとかって······」

レオの顔には、不安と心配がない交ぜになった感情が浮かび上がっていた。
 
 
 
······足場のように揺らぐ瞳が思うこととは、なんなのか。
 
 
 

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花藺 - 霧神廉さん» ひ、久々に覗いたらこ、コメントが・・・。本当にごめんなさい。そしてありがとうございます。待っててくださいね!頑張ります! (2018年3月21日 22時) (レス) id: 78c6e1698f (このIDを非表示/違反報告)
霧神廉 - 更新停止は寂しいですが、僕はいつまでも待ってます! (2018年3月10日 22時) (レス) id: cff83fd718 (このIDを非表示/違反報告)
花藺 - 霧神廉さん» 嗚呼、なんてありがたいお言葉・・・っ!頑張ってきてよかった・・・。これからも頑張ります!o(`^´*) (2018年2月14日 20時) (レス) id: 60a7600913 (このIDを非表示/違反報告)
霧神廉 - 面白いです。更新頑張って下さい! (2018年2月14日 20時) (レス) id: 957f042b23 (このIDを非表示/違反報告)
花藺 - 名無しの猫さん» あああありがとうございますぅぅぅ!これからも更新頑張ります!応援よろしくお願いいたします! (2018年2月12日 13時) (レス) id: 60a7600913 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花藺 | 作成日時:2018年1月12日 22時

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