名前のない関係─CM (ページ18)

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「遅くなったー！」

そう言ってタカシが帰ってきた。
平常心、平常心・・

「おかえり」

「あれ？チャンミン寝てるの？」

「うん」

掴まれた腕をなんとか離す。

「鍵、置いとくから」

「おぅ、ねぇ聞いて聞いて」

嬉しそうなその声から予想はつく。

「うまくいったの？」

「そう！彼女ができましたー！」

ちょっとホッとしてる私がいた。

「そっか、おめでとう」

バッグを持って上着に手をかけた。

「あれ？ねぇ、帰るの？」

「うん、タクシー拾うから。それよりおめでとう」

「ありがとー！今度は3人で俺の祝杯だな！」

ルンルンでいうタカシの目を見ずに上着を着ながら言う。

「彼女ができたなら、私はここにはこれないから」

「え？だからー3人だし大丈夫だって」

「彼氏の部屋に女の人がいるってどうなのよ」

「・・・うーん、別に・・」

「せっかく出来た彼女、幸せにしてあげなさいよ。姉からの忠告ね」

笑いながらそういうとタカシの肩をポンと叩いた。

「姉の役目は終了、まぁたまにはここ以外でさ、仲間内で飲もうね！あ、彼女も一緒に」

そう言ってドアノブを回した。

「あ、送ってく！」

「チャンミン1人でかわいそうでしょ」

バタンと扉が閉まる音を後ろで聞いて足早にタカシの部屋を立ち去った。

これでもう私とチャンミンを繋ぐものはなくなった。
会わない理由ができた。
理由をつけて待ち焦がれて
1人で舞い上がったり1人で落ち込んだり

疲れる恋愛はこの年になると致命傷だ。
だから、大丈夫。
夢は夢のまま、終わりはくるんだから。
現実世界に帰りましょう。