らいおん4 ページ22
明日は、土曜日。
土曜日の次の日は、日曜日。
倫也先輩との、約束の日。
あの雨の日から、菅田は学校にきていない。
朝、いつもと同じ時刻の電車に乗り込んだ。
私の乗る駅からだと朝の時間帯は座れることはほとんどなく、けれどそこまで混み合うことのない車内。
一時間目の英語の小テストのために、単語帳を開いて眺める。
正直、どうしてもふとした瞬間に明後日のことを考えてしまって、緊張と不安が急に襲ってきたり、でも純粋にワクワクしたりもして、自分の気持ちが整理できずにいる毎日だった。
(倫也先輩は、どんな気持ちなんだろう)
単語帳から目線を上げて、扉に寄り添いながら窓の外をみやる。
(この景色も、月曜日には)
(何か違って見えるのかな)
「何が見える?」
声の主が誰なのか、見なくてもわかった。
いつからいたんだろう。
でも、すごくホッとしている自分がいるから不思議だ。声のする方へ向けば、つり革に体重をかけるようにだらしなく両手で掴まって、扉の窓の景色を見つめている菅田がいる。
「制服...じゃないね。どうしたの?」
菅田は普段着で、灰色のTシャツにジーパンにサンダル、のラフな格好。そして顔にはぺたぺたと雑に絆創膏が何箇所か貼られている。
通勤、通学時間の車内に、金色の彼だけが少し浮いていた。
「Aに会いたいなーって思って。せやけど学校行くんはめんどくって、前一緒んなった電車乗れば会えるんちゃうかなって、思って。乗ってみたら会えた」
こちらを見て、いつもの顔で笑う。
「....、学校、きなよ?」
「ちょっとは心配した?」
「心配ってゆーか、どうしたんだろうって、思ってたよ」
「はは。それは、嬉しい」
ガタン、ガタタン、電車が揺れて、
周りにたくさん人がいるのに、私たちだけの空間がある。前にもこんなことがあった、駅のホームだった。
降りる駅のアナウンス。
電車のスピードが落ちてく。
「次で、降りるん?」
菅田は、わかりきったことを聞く。
降りるよ、菅田は降りないの?って、何故か聞けない。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません!最高です!更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜!楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽`) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜!寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ! (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです!題名が2匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました!そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです!少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります!これからも応援しています! (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ!2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:その | 作成日時:2019年12月10日 12時