ページ ページ15
私に話題を振られたと思ったけれど、するすると話は流れ、別の話題になったからホッとする。
私には、中村先輩がいる。その言葉は、菅田とのことを諫めされているようにも感じて。わからない、けれど。
「いいね、大人な彼氏。うらやましいな」
上手に微笑んで、思っていなくても言うべき言葉を選び、きちんと丁寧に、伝える。
「おわー、B定うまそーやん」
よく通る声が頭上から降ってきた。
噂の人が来た、というように少し色めき立つ仲間たち。仲間なのかな、どうなのかな。
「俺もそれにしよかな。うまい?」
「あー、........うん、おいしいよ」
「A以外の君らはアレやな、パスタ、パスタ、パスタ、女子やなあ〜。足りる?それ」
なははは、と笑いながら言って、「Aちゃんけっこう食べるもんね〜」なんて言われるもんだから、ああ、そういう感じか。そーか、と。胸がちくり、と。唇を噛んで愛想笑いを浮かべる。
「ふーん、ええやん、いっぱい食べんの」斜め後ろに立つ菅田の声が遠くなっていく。
「でも、やっぱ揚げ物とか、気になるよね?」
「わかる、Aちゃんもちょっと気にした方がいいかも」
「たまにご飯大盛りだもんね!私絶対むりー!」
これは、なんというか。集中砲火。
喉が焼けるような。もう食べれないかも、残り。おいしいのに、食べたかったのに。
菅田のせい。彼女たちのせい。
いや、───私のせいだ。
「あかんなー」
「助けよか?」
耳に膜がはってしまったように、その声は届かない。みんなのキラキラした笑い声は、何かを犠牲にしてるの、きっと知らないだろう。
「A!」
肩を掴まれ太い声でそう呼ばれた。ハッとする。みんなも菅田に注目し、どうしたの?というように彼を見る。
「お前、腹痛いやろ?な?トイレやろ?」
「.......そ、」
「ほら、いくで!」
二の腕を持ってぐいっと引き上げられ、思いの外簡単に私の体は立ち上がる。そうか、助けてくれるのか。
「女子たちよ、Aがいっぱい食うのは、全部乳にいっとんねん。はっはっは!」
何言ってんの?!と、ツッコむ元気は今の私にはなく、一瞬ぽかんとした彼女たちは「何言ってんの菅田くんへんたいじゃーん!」と楽しそうに笑い出した。
すごいね、今のは正解だったんだね、菅田。
231人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません!最高です!更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜!楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽`) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜!寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ! (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです!題名が2匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました!そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです!少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります!これからも応援しています! (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ!2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:その | 作成日時:2019年12月10日 12時