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Failure ページ10

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銃声音と吸血鬼の断末魔が夜の墓地に響く。

そして砂と化し崩れ落ちていった。
獲物が捕まらなかった吸血鬼はまだ土葬されている地域の比較的新しい墓を荒らしたりもする。

今日は墓地の管理者からの依頼だった。
銃声が響くと警察が来て見つかれば厄介なことになるためにいつも素早く撤退しなければならない。
弾丸を拾えば、死体も残らないので悪戯に空砲を鳴らされたと人間達は思ってくれる。

この日の傷は少し深かった。
僕は弾丸を急いでポケットに突っ込み、血が流れる腕を抑えて近くの沢山木が植えてある場所に隠れてしゃがみ込んだ。


「ぐ……」


袖を捲ると吸血鬼の爪が当たってしまった所は切れた服の通りにぱっくりと開いてしまっていた。
汗を拭ってからタオルで肩の根元を縛って応急処置をする。
ここまで傷が開いていたら病院で縫って貰わないといけないだろう。
余り時間に余裕は無いが少し休憩したかった。
目を閉じて熱く燃えるように痛いのを深呼吸で少しでも逃がしていると急に瞼に光が当たって咄嗟に顔を逸らした。


「!」
「しっ」


目を開けると一人の警官が僕の前に懐中電灯を持って立っていた。
気配でダンピールだとわかる。まだ若い。
警官が懐中電灯を消して静かにしゃがみ込み僕の傷の具合を見ている。


「ヴァンパイアハンターですよね」
「…知ってるのかい」
「はい。噂には聞いていましたが、本当にいるとは…」


墓地の方からは他の警官だろうか、何か不審な所はないか話している声がする。
まだ滲み出る僕の汗をその警官はハンカチを取りだして拭った。
後ろを振り返り他の警官達がこちらへ来ないか警戒しているようだ。
妙に協力的なダンピールだ。僕は助かったと胸を撫で下ろす。


「僕が何とかここから意識を逸らしますから、貴方は逃げてください。銃を持っていると知られたら騒ぎになります」
「どうして君は…」
「……僕も、もっと早く知っていればハンターに…」


警官の名前だろうか、探すように呼びかけられている。
懐中電灯の光がぐるぐると回ってすぐにでもここに居るのがバレてしまいそうだった。
警官は「行って」とだけ残し何か笑いながら話して戻っていく。
彼の好意を無駄にする訳にはいかないので僕は腕を抑えて背を低くして走って裏道から病院へと向かう。
電話を持っていない僕達は連絡手段が無いので二人を心配させてしまうのだろうなと左腕を抑えながら思った。


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作者名:ユウたろー | 作成日時:2023年10月29日 23時

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