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結局二人は端末で僕の場所を確認したのか水分片手に追いかけてきて一緒に山菜採りをした。
食堂の皆は大喜びで夕飯を作ってくれている。


「楽しみですね」


ホソクが両手で頬杖をつきながらキッチンの方を見た。
忙しなく働いてくれている夫婦は慣れた手つきで手際よく泥を落としたり下拵えをしている。

夕飯を食べた後はすぐに僕達に依頼として入った街の外れの人気の少ない場所へ行く。
どうやらそこにあるもう使われていない廃墟となったアパートでコウモリから人に変わった所を見たと言うのだ。
その依頼主の女性が襲われていないので強い吸血鬼では無いのだろうと判断してホソクを連れていくことにした。

ホソクとヘジンは夕飯に何が出てくるかの賭けをしている中、僕は初めてホソクを連れて行くことにとても緊張していた。
ヘジンと初めて吸血鬼と退治した時のことを思い出す。


「Aさん?」
「えっ、あぁ。ごめん」


名前を呼ばれていたことに気づかずに謝るとヘジンが僕の手を握る。
僕と同じように指先が冷たくなっていて、思わず瞳を見るとゆっくりと頷いて眉を下げて笑った。


「俺も緊張してます、でもホソクには目眩しも銃もしっかり教えました。きっと大丈夫ですよ」
「……うん、ありがとう」
「Aさん、ヒョン」


僕達の顔を交互に見てニコニコしていたホソクにも緊張が移ってしまったのか少し不安の滲む顔で俯いてしまう。
ヘジンがパッと顔を明るくさせてホソクの背中をバシバシと勢いよく叩いた。


「あで!」
「ごめんごめん、大丈夫だって!」
「痛いですヒョン!」
「痛くしてんの」


そうしているとキッチンの方から声がかかる。
朝から暑い中練習をして昼は軽食だったかお腹がすいているんだろう、二人とも飛ぶようにお椀からはみ出すように盛られたご飯の乗るトレーを持ちに行く。


「凄い!大盛りだね」
「最近ホソクくん沢山食べてくれるからねぇ、大きくなるわよ」
「はい!大きくなりますよ〜」


僕もご飯を貰って席に戻る。
久しぶりにこうして三人で食事をするかもしれない。
かきこみながら食べる二人に懐かしさを感じてあの頃の二人を重ねてしまう。
頼もしくなったけど今も昔も変わらない所を見ているとなんだか安心する。
ずっと人との関わりなんて持てなかったのに、変化する世界を見てきたのに不思議なこともあるものだ。
ふとホソクと目が合う。


「どうしました?」
「ううん、何でもないよ」


さあ、これをたべたら出発だ。


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作者名:ユウたろー | 作成日時:2023年10月29日 23時

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