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「これで良いですか?」
「はい!大丈夫です、ありがとうございます!」
「あ、待ってください。丁度いい、渡したら戻ってきてください」


慌てて戻ろうとした腕を掴んでチヨンが呼び止めている。
こくこくと急いだ様子で頷いたホソクは素早く救護室を後にした。
またチヨンは実験の用意をし始めたので僕はベッドに再度横になって前髪を自分で避けると、顔をまた傾けられて額、頬、顎に一滴ずつひんやりとした液を垂らされた。
針の先で強めにつつかれているような刺激だ。
先程とは違うことを詳細に伝えると机の方からまたペンを走らせる音が聞こえた。





「な、なんだ…!実験の途中だったんですね…!僕、僕てっきり…」


少し隙間を開けて覗き込むように戻ってきたホソクが安堵の表情で椅子に座っている。
僕とチヨンが顔を見合せてから「てっきり?」と言うと「何でもありません!」と言うので訝しげな表情を浮かべながらチヨンが実験の詳細を話し始めた。


「全然、特に何も感じないです」
「こっちも成功ですね」


その流れでホソクの腕にも液体を垂らしたが何の効果も無くて感動する。
僕の腕はまだ赤みが残っているが顔の方は一緒に開発したという塗り薬を塗ったら腫れ上がっていたのが少しましになっていた。
経過観察のために腕の方は薬を塗らないでおくことにする。


「服の上からだとやはり効果は半減…いや、それ以下になりますね。器ごと顔に投げつければ目眩しにはなると思います」
「目眩しは嬉しいな、とりあえず使ってみたいかも」
「わかりました。じゃあ、また完成したら連絡します」


背中を押されて部屋の外へ連れていかれて初めて会った時のようにまた引き戸をピシャリと閉められてしまったので僕とホソクは救護室から食堂へ向かった。


「また食堂を手伝ってたの?」
「はい、そしたらおばちゃんがネギを切っている時に」


口と手で包丁で手早く切る真似をして人差し指を押えて痛そうな顔をしたホソクに笑わずにはいられなかった。
女性の怪我はそんなに深くはないようでそのまま皆の夕食を作ってくれているようだ。
食堂に近づくにつれて良い香りが漂ってきてかなり長く寝てしまっていたから腹の虫が鳴る。
お腹を摩っているとホソクが心配そうに僕の顔を見ていた。


「Aさん、顔の方は結構腫れちゃってますね」
「えっ本当?」


まあ顔は結構痛かったからなあ、と液がついていた頬を摩ると人間の蚊に刺されに似たような感じの腫れを感じた。


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作者名:ユウたろー | 作成日時:2023年10月29日 23時

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