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「他の写真を見に来たんだ」
「これです!自分で言うのもなんですけど中々上手く撮れてますよ」
「凄い、いつの間に撮ってたの?全然気づかなかったなぁ」


一枚一枚大切そうに手に取ってAさんが感心したように言った。
部屋の写真を目を細めて見ている。
僕とヒョンが来る前からAさんはあそこに住んでいたと言っていたから沢山思い出もあるんだろう。
撮っておいて良かった、と僕は頬が緩んだ。


「ホソクの写真も僕が沢山撮らないとね、明日カメラを買いに行かないと」
「僕ですか?」


見終わった写真を丁寧に纏めたAさんは立ち上がって膝に手を着いて僕の少し伸びた前髪を避けて顔を見た。
優しく微笑みかけられて思わず息が止まってしまう。
顔が熱くなって心臓が飛び跳ねるように鼓動を繰り返している。


「うん、どんどん大きくなっちゃうからなぁ…」
「っはい、僕Aさんよりももっともっと大きくなりますよ!」
「ははっ本当になっちゃいそうだな、ヘジンもあっという間に抜かされちゃったからね。ヘジンはもう現場の方で僕を動かしてもいるし…」


緊張して滲む手の汗を服でぎゅっと拭っているとAさんの口から出たヒョンの名前に少し心臓が冷えた。
早く大人になりたいと急ぐ気持ちを宥めるようにこっそり深呼吸をする。


「Aさん…僕は、いつヴァンパイアハンターとして働けますか?」
「え?……高校生の歳になってからかな、って僕は思ってるよ」


ついに聞いてしまった、でも高校生と言われてしまってまだ中学生にもなれていない僕はあと何年あるのかすぐに数えてしまった。


「でもヘジンは中学生になったら現場を見るのもいいかもって言ってたよ、ゆっくり行こう」


少し暗い顔をしていただろうか。
Aさんは僕の頭に軽く手を置いてから「僕は早めに寝るから、シャワーは下で浴びれるよ。おやすみ」と言って部屋に戻っていった。
机に綺麗に置かれた写真を手に取る。
今朝の写真が我ながらとても綺麗に撮れていて僕はこっそりとそれだけ最近ヒョンと特訓中にメモを取っている小さなノートに挟んでおいた。


「中学生かぁ」


ヒョンは早ければ早いほど飲み込みが早いと僕に色んなことを教えてくれる。
初めて手にした拳銃も弾丸も思っていたよりも何倍も重かった。
人の命を守り吸血鬼の命を奪う者の責任の重さでもあると僕は感じた。


「よし」


ノートを閉じて僕はシャワーを浴びるために部屋を後にした。


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作者名:ユウたろー | 作成日時:2023年10月29日 23時

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