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「凄い…!」
「おお…」
思っていたより大きい建物に僕はそれしか言えなかった。
どう考えても僕達が出した予算よりか立派な物が出来ている。
この辺で使われなくなった研究所を使い回したと言っていたけれど相当大きな施設だったんだろう、まだ僕達を含めて五人しかいないので持て余しそうだ。
入口の扉を開けて中を開くとチヨンの趣味なのだろうか、元々研究所とは思えない西洋風の綺麗な内装に掃除用のロボットが数台床を行き来している。
「おっと」
「おーい、Aさん!ホソガ!こっちこっち」
慣れないために足が当たりそうになったのを避ける。
きょろきょろと見回すホソクの向こうにある階段からヘジンが降りてきた。
どうやらもう既にダンボールは部屋に移し終えたみたいで僕も書類を持ち直して階段を上る。
ホソクも手伝ってくれているが少し重たいみたいでヘジンが一つ荷物を預かった。
「先に団長室にこれ置きましょうか」
「だ、団長室?」
「チヨンさんがそう言ってました」
ポケットに差し込んでいた紙を広げてくれたので見てみるとそこには確かに団長室と書いてあって他にも色々と細かく記入がしてあった。
チヨンは意外とこういうの凝り性なんだな、と荷物を持ち直してそこの部屋に向かう。
ヘジンが開くと広めの部屋に机や椅子、棚が綺麗に並んでいていかにもなイメージそのものの部屋だった。
全員でダンボールや書類のまとめてあるファイルを仕舞いながら片付けていく。
「勿論団長はAさんですよね!」
「えっ?」
「そりゃ言うまでもないだろ」
棚に番号を確認しながらファイルを並べる二人が楽しそうに話している。
団長なんてそんな大それた役職が僕にできるだろうか。
ハキハキと意見が言えて戦闘も申し分ないヘジンの方が向いていると思ったが、そんな口を挟む暇もなく二人はヒートアップしていく。
「ヒョンは団員のリーダーって感じがします!団長はちょっと、皆とすぐ喧嘩になりそう…」
「あ、ホソク?言ったな〜、今日の昼飯の肉は俺が全部食うからな」
「ほらあっそういうとこですよ!」
「はいはい、二人ともやめなさい…」
手を止めて二人を宥めに行くと「やっぱりAさんだな」と顔を合わせて言うので喧嘩してるんじゃなかったのか、と肩を落とす。
三人でやったお陰か早く終わったので次は個室だ、とヘジンが地図片手にまた道案内をしてくれた。
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作者名:ユウたろー | 作成日時:2023年10月29日 23時