Hunter ページ1
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つい最近、と言っても数百年ほど前になるが人間は吸血鬼というのは今まで完全にファンタジーの世界での空想の化け物だと考えていた。
いや、それは今でも変わらない人ばかりだが。
確かに彼らはこの世に存在するのだ。
何故言い切れるのか、それは僕の父親が吸血鬼だからだ。
しかし吸血鬼というのは人間と同じように家族を形成しない。
ただ、欲のままに気まぐれに人間を犯し捨てるだけだ。
今で言う警察は全身の血が抜かれた死体やとても人間業ではないほどに切り刻まれた死体を迷宮入りとして封印してきた。
それに綻びが出来たのはつい最近のこと。
とは言っても一部の地域だけでまだまだ知られてはいない。
現代において知られていないのは吸血鬼の数が全世界の人口と比べれば圧倒的に少ないということと、彼らは夜の闇で活動するという理由からだろう。
その一方で僕のような吸血鬼と人間の混血、ダンピールは吸血鬼の能力を引き継ぐことがあるが基本的に人間と容姿が対して変わらないので隠して人間社会に溶け込んでいる。
ダンピールである僕がヴァンパイアハンターとして活動をし始めたのは約百年以上前だが一人では限界を感じ協力してくれる団員をずっと探していた。
だが協力関係を結んでくれる人は中々見つからないものだ。
吸血鬼の被害にあった遺族が治癒能力のない傷だらけの僕を見て誰が命を賭して戦うなど考えるだろうか。
答えは否だ。
全員僕を見て泣きながら去っていく。
思いは皆一緒だ。許せないはずなんだ。
僕も悪戯に人間を蹂躙する吸血鬼が許せなかった。
母は僕を愛してくれたがいつも悲しそうな顔をしていたから。
今日もまた、吸血鬼の気配を感じた場所へ足を運ぶ。
その日は僕の転機となった。
「やります。お願いします、俺も一緒にやらせて下さい」
家の前で呆然と立ち尽くしていたうら若き少年が僕を強い眼差しで見据えてはっきりとそう言ってくれた。
僕は少年の手を取り、ヴァンパイアハンターの二人目として歓迎した。
その少年は人間でありながら器用な物で僕の言うことをすぐに吸収し、思っていたよりもうんと早く立派なヴァンパイアハンターとして成長してくれた。
──二人で吸血鬼を追いながら生活していたある日のことだ。
薄暗い路地裏で声が聞こえ走って向かう。
そこを覗くとまだ幼稚園生くらいだろうか。
小さな子どもがぼろ切れに包まりながら泣いていた。
「オンマ、アッパ…」
掠れた声でそう叫びながら。
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作者名：ユウたろー | 作成日時：2023年10月29日 23時
