月光と指先 �� ページ45
♪
彼に手を引かれて昇ってきた階段の先は、旧校舎の屋上だった。
私は初めて来る場所だったけど
目黒くんは手馴れた様子で
階段の一番上に張られた、立ち入り禁止の柵を勝手に外して
簡単に屋上のドアの鍵を外してしまった。
どうして開けられるんだろう。
どうして、鍵を持ってるの？
ああ、でも。
やっぱりこの指がいいな、ってぼうっとして見てたら
彼は、重たそうな鉄扉を開けると片手で押さえて、私の手を引いてドアを入った。
もう外は真っ暗で、屋上には入り口の非常灯の灯りしかない。
暗い旧校舎の屋上の、入り口の壁の前になぜか二人でいる。
久しぶりに会う彼は、
溜息をひとつ吐くと、乱れた前髪を無造作に手でかき上げた。
いつの間にか少し髪が伸びて、何だか大人っぽくなった気がした。
そういえばどうしてさっき、目黒くんが、教官室に来たんだっけ。
なぜか阿部先生と何か言い争ってた。
今どうしてここにいるんだっけ。
なんだか色々わからない。
やっぱり夢なのかも。
それでもいいや。
もう会えないと思ってた人に、会えたから。
目黒くんは強い瞳で見てくるけど、何も言わない。
夢の中なら 触ってもいいか、って思ってそうっと彼の手に触れた。
あたたかい。
夢でもちゃんと温度があるのね。
そうしたら、彼が少し掠れた声で言った。
蓮「ほんとマジで腹立つ。なんでそんなに無防備なんだよ」
「え、何のこと」
蓮「さっき阿部に何かされるとこだったんだぞ、なんでわかんないわけ」
「何かって」
蓮「、、、ねぇ。 本当にされないとわかんないの？」
目黒くんは長い腕で、わたしの横の壁に手をついてきて
両腕に閉じこめられてしまった。
わたしの目をためらうことなく、じっと強い瞳で見つめてくる。
彼を見上げると
薄暗いところでもわかるくらい、端正な顔立ちをしていて、、
その彼の肩越しの東の空には、白い月が浮かんでいて
静かに わたしたちを見下ろしているようだった。
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Rinna(プロフ) - めいさん» コメントどうもありがとうございます！リクエスト頂きとっても嬉しいです！^-^ キスのシチュエーションいいですね…そんな素敵なシーンが書けるように頑張ります！これからもよろしくお願いします^-^ (2020年6月14日 17時) (
レス) id: 18cd872e84 (このIDを非表示/違反報告)
めい - リクエストなんですが、”目黒くんと主人公ちゃんがキスをする”っていうシチュエーションを書いてほしいなぁと思いました！ 更新頑張ってください!! (2020年6月14日 11時) (レス) id: 730e0168eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんな | 作成日時：2020年6月4日 16時
