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第4話 ページ4

彼は興味深そうにこちらを見る


その視線が痛く感じた私は


彼から目を逸らした。


彼はどうやら私たちのいうゲームが


どんなものか理解したようだ


世界中でみんなしているのだから


その人たちを殺したとしても


止まることの無い世界なのだと。


これは抗いようのない世界なのだと。


私はその通りだ、と言うように頷く


他のプレイヤーの事情は知らないが……


ゲーム好き、高難易度が大好物な人にとって


彼との戦闘は楽しいだろうから


「……なるほどな。お前さんを殺したところで
どうにもならないってことか。ゲームとして
この世界に存在するなら仕方ないな」


彼は私の手に刺さった骨を抜いた


今まで感じたことの無い痛みが私を襲う


ああ、ここで殺されるんだと、覚悟した。


「大人しくしてろよ」


彼は私の手をとると、何故か包帯を巻いてくれた


すると、不思議なことに痛みがみるみる引いていく


思わず心が弾んでしまって心の声が漏れた。


「魔法の、包帯……」


「ハハッ、普通の包帯さ
だが、アンタの世界の包帯とは、
仕組みが違うみたいだな」


ふと、声が優しくなってることに気付いた


彼は怒った時、"お前"とか二人称で呼ぶのだが……


いつの間にか"アンタ"と呼ばれている


「なんだ?何をそんなに震えてるんだ?」


当たり前だ。怖くて震えていたんだ


せっかく死ぬ覚悟をしたのに、私を殺さないなんて…


憎くは無いのか?と聞いてみた


「……憎いと言ったら憎いね
けど、諦めが悪いのはあの悪ガキだ
アンタの手でじゃなくて、
アイツが自分の手で殺したんだ」


……それはあまりにも屁理屈だ


罰を受けるべきは私たちなのに、


その選択を選んだのは間違いなく、私だというのに


「アンタにとっちゃゲームの世界の話なんだろ?
なら、仕方ないさ。オイラだってゲームは好きだぜ。
楽しいからな。勿論、パズルの次にな?」


正直、意外だった。よく見る二次作品では


私たちは彼に恨まれる側だから


不思議そうに見つめていた私を見て、


彼はため息をつきながら、


「元々用意されてる結末に文句なんて言わないさ」


そう諦めた声で言うのだ


……彼はまた諦めている


覆すことが出来ない世界とわかっても


彼は絶望しないだろう


だってもう諦めてるから、


絶望する必要性がないのだ


もし、絶望することがあるなら


それは家族の死であるけれど、彼の場合


復讐の炎の方が先みたいだったし……

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あゆさ(プロフ) - アルドールさん» わあ!とても嬉しいです!結構な量があるので一気読みしてくださって本当に嬉しいです!よかったら完結まで見届けてください!! (2021年4月5日 21時) (レス) id: 0c9cd9af7d (このIDを非表示/違反報告)
アルドール(プロフ) - 初めまして!Undertale経由でこの作品を見ました!とても凝っていて、一気に読んでしまうぐらい凄く楽しく読ませてもらいました!!これからも更新頑張ってください!!(*´ `*) (2021年4月5日 20時) (レス) id: f19fae88e7 (このIDを非表示/違反報告)
まな★★(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます!毎回楽しみにして頂いてるようで嬉しいです! (2020年10月19日 23時) (レス) id: 7dea6cedb8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 今日も面白かったです!(^_^)/フリキャが一緒にいるのがめっちゃ好き…キャラはちょっと違うけど、この設定もほんとに好きです!(*^^) (2020年10月19日 22時) (レス) id: 74d9f2f81e (このIDを非表示/違反報告)
まな★★(プロフ) - ゆうさん» マイブームになってしまいまして(´>∀<`)ゝ))エヘヘ他の作品がかけてない状態ですね()書き溜めてるので毎日更新出来てます (2020年10月13日 22時) (レス) id: 7dea6cedb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年9月18日 21時

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