nine drops ページ44
last side Ryosuke
「涼介先生、素晴らしい伴奏でしたよ。あなたの、在園児と一緒に見送る様子を見て、来年度は年長さんを任せようかと思ってます。」
園長先生がそう微笑んだ、その途端に、式中ずっと堪えていた涙があふれ出して。
「っあ、ありがとうございます…!がんばります…っ……、」
なんて、情けない声を出したおれに、その場にいた先生たちみんなが笑った。
一番お世話になってる、俺の教育係の先生に、
「最近の涼介先生は、とっても生き生きしてる。なんだかいいことでもあったのかしら。」
茶化すようにそう言われて、
大好きな人の笑顔が、脳裏に浮かんだ。
いつも降りる、家の近くのバス停の、2つ手前で降りて、足早に商店街の中を歩いてく。
着慣れないスーツは、動きにくいな。
朝はキマってたと思う髪型、乱れてないかな。
思いがけず号泣したから、目の周りが腫れてないかな。
デートプランは伝えてないけど、もう決まってる。
上映時間まで、まだ時間があるから、あの頃寄り道してた喫茶店で、いちごパフェを食べよう。
その防音室を静かに開けると、美しいメロディを奏でていた華奢な手が止まり、
「おかえり、涼介。」
淡い色の瞳が、優しく瞬いた。
プラネタリウムは、今も変わらずにあったけれど、変わったのは、上映される星空を眺めるおれたち。
同じ星の下から、同じ故郷の星を見つめるんだ。
最も、おれは行ったことないけどさ。
「オリオン、見つけた?」
「…うん。」
「ほんとだ。慧の瞳に映ってる。」
「クス、涼介の瞳にも映ってるよ。」
「ねぇ、次のブラッドムーンの時には、母さんを連れて星雲の森に行こう。」
「…ふふ、じゃあ、オリオンに向けて王様にメッセージを送らなきゃね。」
「おれが会いたいって願ったら来てくれるよ。」
「クス、うん。王様は涼介のこと大好きだもん。」
「それと、父さんに伝えたいんだ。ありがとうって。」
「…ありがとう?」
「慧に、出会わせてくれたから。」
オリオンは、今夜もほんとの夜空に瞬いてる。
おれは今でも、左の瞳の奥に温もりを感じるんだ。
そして、幸福をもたらす赤い魔法石は
青いオリオンの星に包まれて
きっと今でもその輝きを放ってる
「今度はほんとの星空を眺めに行こうよ、涼介。」
「うん、オリオンが瞬く夜にね。」
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ふるは(プロフ) - 初めましてかな。やまいのに釣られて読ませて頂きました。初めは悲恋なのかな?と思いましたが2人の幸せが見れて良かったです。読ませて頂いてありがとうございました。 (2020年5月28日 10時) (レス) id: e713ca3791 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 相宮さん» お返事ありがとうございます!気づかず遅くなってごめんなさい。ご丁寧にありがとうございました。どうしても世界を救ってほしい内容ばっかりですが、また新しいのも書いてるので読んでもらえたら光栄です。ほんとにありがとうございました。 (2018年4月23日 10時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
相宮(プロフ) - すいません!感想が先行して挨拶を書きますれてました!改めましてはじめまして!改めて見直すと少しパーシーっぽさが出てますね!いえいえ、自分のストーリーを持っていることはすごいことだと思います!はい、楽しく見させていただきますね! (2018年4月16日 18時) (レス) id: 771b003506 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 相宮さん» はじめまして!感想とっても嬉しいです!お気持ちが伝わりました。パーシーも知ってる上で面白いと言って下さり本当に光栄です。このように変わったお話ばかりですが、よければ他のお話も読んでもらえると嬉しいです。本当にありがとうございました。 (2018年4月16日 11時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
相宮(プロフ) - 感想が長くて申し訳ないのですが、すごく面白かったです!次回作も読ませていただきます!長文失礼しました! (2018年4月15日 2時) (レス) id: 771b003506 (このIDを非表示/違反報告)
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