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次の停車駅に近づいたらトイレに行く、そう慧に言われるがままに頷いた。
いつも一緒にいるんだから、特に話すことも思い浮かばない。
いつもは慧がたくさん話してくれるけれど、今日に限っては違っていて。
何をするわけでなく、ただ慧だけが知ってる目的地を目指す。
それでも、窓の外の初めて見る景色と、自然とまた繋がれた手に、俺の心は踊る。
馬鹿だと思う、でも、
慧が隣にいる、それだけで俺は幸せなんだ。
慧は、どう思ってるんだろう。
俺の隣に座り、気の利いた話もできない俺と旅行して、楽しいのだろうか。
こんな風には、いつも思ってきたんだ。
普通じゃないこの眼と、暗くて卑屈な性格。勉強も運動もろくにできない俺。
それでも、当たり前のようにいつも隣で微笑みかける慧に、一度だけひどく当たったことがある。
「一緒に行く必要なんてない。」
中学３年の受験の時、いっぱいいっぱいになってた俺に、当たり前のように同じ志望校を提示した慧に、そう強く言い放った。
「だいたいっ、なんでいつも一緒にいるんだよ！無理して、いる必要なんてないだろ！」
「…無理なんてしてない。」
「嘘つくな！お前だって思ってる！気味が悪いって！俺と一緒にいれば自分が目立てるとか思ってんだろ！」
わかってた。慧がそんなこと思うはずないのも。
毎日の俺への態度に偽りなんかないのも。
慧だって、子供なんだ。偽ってまで、無理してまで、できることじゃないのも。
同じ高校に行けるなんて、これほど嬉しいことはないのに。
反論してこない慧を見上げると、
「っ…、」
静かに、涙を流していた。
その時初めて、泣いたところを見た。
そのまま慧は、
「……涼介のことを、」
ポタリポタリと、雫を落としながら、
「気味が悪いなんて、思ったことない。」
俺を、真っ直ぐに見つめて、
「俺は、その赤い眼を、とても綺麗だと思ってる。」
そう告げて、静かに部屋を出て行った。
その日の夜、
「ごめん」とだけ書いたメモ紙を、慧の部屋の引き戸に挟んだ。
朝になって気づいた、俺の部屋の引き戸に同じように挟まれてたメモ紙。
ー 今日は中庭でお昼食べようね ー
赤い瞳からポタリと落ちた雫が、慧のそのメッセージを滲ませた。
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Link(プロフ) - 青空と虹さん» 本まで読んだんですね！私は映画だけですが、同じく大好きなんです。こうしてパーシーのお話をできるのが嬉しいです。お話の続き、楽しみにしてくれてありがとうございます。私の話はぶっ飛んだ内容ばかりですが、楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2018年3月9日 7時) (
レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - Linkさん» 合っててよかったです！！パーシージャクソンは大好きで、本も全部読んでいたのですが、確かに山田さんに雰囲気似てるかも…！パーシージャクソンの片鱗を探しながら、楽しみに読ませていただきます^^* (2018年3月8日 14時) (レス) id: 66b7c3c525 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 青空と虹さん» はじめまして！コメント読んだ瞬間ににやけてしまいました！ついにわかる人が！と。そうです、パーシージャクソンです！主人公の雰囲気が山田さんに似てるな(勝手な見解です)というとこから妄想を膨らませました笑 コメント本当に嬉しかったです。ありがとうございます (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - chieさん» chieさん、いつもありがとうございます！コメント頂く度に励まされます！ふたりの行く末を見守ってください。楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - めぐみさん» めぐみさん、ありがとうございます！大好きというお言葉だけで、このお話が救われます。続きを楽しみにしてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします！ (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
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