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知らない駅を出て、道なりに走る慧の速さは、尋常じゃない。
横の車道を走る車を何台も越えていく。
けれど、
それに、俺が、付いていってる……?
いくら掴まれた左手を引かれてるとはいえ、俺はこんなに速くは走れない。
けれど、身体は付いていく。足は動いてる。
なにが、なにが起きてるんだ……?
俺の手を掴む右手、そして反対側の左手には、大きな、剣、のようなものを握っている慧。
そんなもの、どこで…、リュックに入る大きさじゃない、そう思った瞬間、
シュッ…、とその鋭く尖った剣のようなものが、
手の平に収まる、慧がいつも持ち歩いてるペンに変わった……
「っ、ハァッ、けいっ…!」
目の当たりにすること全部に、堪らなくなって、慧を呼び止める。
「もっ、はしれないっ……、」
「っ…、」
息切れした俺の声に、慧はハッとして立ち止まり振り返った。
キョロキョロと周りを見渡しながら、俺の手を引いて、近くにあった誰もいない小さな公園に入っていく。
「ハァ…、ごめん…。」
そう呟いて目を伏せた慧は、ほとんど息を切らしてなくて…
普通じゃないのは、俺の左眼だけじゃない。
この目の前の存在 __
この状況も、すべてが、普通じゃない。
「……お願い、」
戸惑いを隠せない俺を見つめた慧は、
「今は何も聞かないで…。」
そう、ひどく淡い色の瞳を揺るがせて、
「落ち着いた場所で、…きちんと話すから。」
俺の手を強く握る。
「ここに、留まっていられない。」
「…さっき、の…?」
「奴は直ぐに追ってくる。」
「やつ…?あいつは、いったい…、」
聞きたいことは、溢れかえってる。
あの男は、何者…?
あの場にいた人たちはどうなった…?
あの男を刺したのは、慧…?
消えたように見えたのは、錯覚…?
そして、彼奴が呟いた、意味不明な言葉……
『オリオンの、魔法石。』
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Link(プロフ) - 青空と虹さん» 本まで読んだんですね!私は映画だけですが、同じく大好きなんです。こうしてパーシーのお話をできるのが嬉しいです。お話の続き、楽しみにしてくれてありがとうございます。私の話はぶっ飛んだ内容ばかりですが、楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月9日 7時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - Linkさん» 合っててよかったです!!パーシージャクソンは大好きで、本も全部読んでいたのですが、確かに山田さんに雰囲気似てるかも…!パーシージャクソンの片鱗を探しながら、楽しみに読ませていただきます^^* (2018年3月8日 14時) (レス) id: 66b7c3c525 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 青空と虹さん» はじめまして!コメント読んだ瞬間ににやけてしまいました!ついにわかる人が!と。そうです、パーシージャクソンです!主人公の雰囲気が山田さんに似てるな(勝手な見解です)というとこから妄想を膨らませました笑 コメント本当に嬉しかったです。ありがとうございます (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - chieさん» chieさん、いつもありがとうございます!コメント頂く度に励まされます!ふたりの行く末を見守ってください。楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - めぐみさん» めぐみさん、ありがとうございます!大好きというお言葉だけで、このお話が救われます。続きを楽しみにしてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
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