アクシデント ページ24
カランコロン____
『いらっしゃいませ』
???「どうも、こんにちは」
落ち着いた品のある声が降りてきた。あまりになめらかな挨拶だったので、思わず背筋がシャキッと伸びてしまうような気分になった。
声の主は、20代くらいの女性。その姿は黒いスーツを身にまとい、ショートの黒髪が真っ白な彼女の肌を際立たせるので、頼れるキャリアウーマンさながらだ。
『どんなお花をお探しでしょうか?』
女性「はい、カラーという花を探しているのですが、ありますか?」
『ええ、少々お待ちください』
スパッと花の名前が出てくるあたり、この人はカラーという花をとてもよく知っているのだろう。何せ花の名前が思い出せない人が大概だから、こういうことはレアだ。
そもそもカラーとは、入学式や結婚式などのお祝いごとがあるときに会場によく飾られるあの花だ。切り花が一般的かな。
たんぽぽみたいに横に広がるのではなく、縦に花びらが伸びていて、中心に黄色い棒のようなものがあるが、実はおしべとめしべの集合体らしい。
(カラーなんて見るの久しぶりだなあ………何年ぶりだろ)
そんなことを考えながら貯蔵庫へ向かうと、そこには美しく咲き乱れるカラーの花束が床の中央にポツンと置かれていた。
『よし発見!早速持っていこうっと』
何色ものカラーを腕に抱きかかえて貯蔵庫を後にし、女性の元へ歩き出そうとしたそのとき、私はピタリと足を止めた。
_____いや、止めざるを得なかった
花束の包装紙に隠れてさっきまで気づかなかったが、一本だけ白いカラーがポキッと折れていたのだ。
途端にサーっと血の気が引くのを感じた。
『………R@&l※!?っ何で、折れて………』
あまりの出来事に大声を上げてしまい、慌てて口を押さえたが、時すでに遅し。
女性「どうしました?」
今の声を聞いて女性がこちらを覗いてきた。そして折れたカラーに視線が届く。
『あの……これは……そのー…………』
弁解しようとしたが、頭の中はちゃんがら状態。しどろもどろすることしか出来なくて、変な声が喉から飛び出てきてしまいそうになる。
しかし、彼女は表情を戻し、安堵したように笑った。
女性「あぁ、そのことですか。折れてて構いませんよ」
『……………っへ?』
チョットナニイッテルカワカンナイ
女性「折れた状態が当たり前なんですよ。すみません」
続きます→
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クルイ - リクエスト、ありがとうございます! (2021年12月2日 18時) (レス) id: 6c77753d41 (このIDを非表示/違反報告)
からちゃ(プロフ) - パトさん» パトさんありがとうございます!なるほどNGワードですか…確認します。期待に応えられるように頑張ります! (2021年5月15日 12時) (レス) id: 1908544fd9 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - NGワードとかが入っちゃってる感じですかね……? ごめんなさい、コメントしておいて何ですがよく分かりません。この作品、とても好きなので一刻も早く更新が再開できるようになることを願っております! 体調に気を付けて頑張ってください! 応援してます! (2021年5月14日 21時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - ありがとうございます! (2021年5月14日 18時) (レス) id: 08c098a676 (このIDを非表示/違反報告)
からちゃ(プロフ) - 莉亜さん» 遅くなってすみません!今さらですが、この作品は完全オリジナルなので煮るなり焼くなり好きにしていただいて結構です!早くに返信できなくて本当にすみません、、、 (2021年5月14日 18時) (レス) id: 1908544fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からちゃ x他1人 | 作成日時:2020年9月24日 21時