【34】欲求 ページ34
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こういう気持ちを抱いた状態でAに触れたことはなかった。
いつも大事に、大切に、優しくAに触れてきた。
黙ってしまったAに、更に言葉をかける。
「嫌？」
このいつもとは違う雰囲気に、流されてくれるならそれでもいいと思った。
濡れた髪の隙間に見える首筋に、そっとキスを落とす。
ぴくりとAが体を揺らした。
「ね、キスしよ･･･？」
首筋からシャンプーの香りがかすかにして、心臓の辺りがジンジンとする。
夏休み前に別れたことはどんなに体をくっつけても、こんな気持ちには一切ならなかった。
これが、好きな人と関係を進めたいという欲求なんだと思った。
「雅紀･･･？」
したい。Aにキスがしたい。
その気持ちは今体中からあふれていた。
でも。
俺には恋より、大切なものがある。
その恋の中心は、その大切なものの中心でもある。
俺とヨコとA。
一人かけても違う。
だから、あふれ出すこの感情を心の奥にしまいこむんだ。
「･････なーんちゃって」
一瞬ぎゅっと目をつぶって、回していた腕をほどいた。
「ごめんね、急に！」
さっきまでの雰囲気を打ち消すように明るく言った。
「ヨコもいるし、ダメだよね抜け駆けはさ！」
「抜け駆けって……裕くんは彼女いるじゃない」
「そういうことじゃないのー」
そういうことじゃない。
俺の感じたことが間違いじゃないとしたら。
あのヨコが、自分の気持ちを俺ら三人の場に持ち込まないように、「割り切って」「年上の彼女」と「そういう関係」まで進んでいたとしたら。
俺がこんなことをするのは、違うと思った。
さっきの雰囲気をかき消すように、陽気にバスタオルでAの頭をごしごしと拭いた。
「よし、おしまーい」
バスタオルでAの頭をもう一度つつんで、Aの前に座って顔を覗き込んだ。
Aの目は驚いたせいなのか、少し潤んで見えた。
今は俺だけを写しているこの目が、ずっと俺だけのものになればいいのに。
到底無理そうな思いを胸に、最後に精一杯の意思表示をする。
「さっきの、ほんとはちょっとだけ本気なの」
そしてAの鼻の頭に、チュ、と短いキスをして
「風呂行って来るね！」
最後はいつもと同じように、明るく振舞って、部屋を後にした。
階段を下りていると、後ろから「なんなの！」とAがやっと声を上げていた。
その反応がかわいくって、つい顔がにやけていたことは、内緒。
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りりい(プロフ) - トリコさん» そうなんです。まだ高校生(笑)どれだけもやもやしてるんだって話です。ほんとに先が長い(笑) (2017年1月25日 22時) (
レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トリコ(プロフ) - 結末わかってるのに、切ない‥あぁ、まだ高校生（笑) (2017年1月25日 22時) (レス) id: e2f01403b4 (このIDを非表示/違反報告)
りりい(プロフ) - 空さん» 空ちゃん！久しぶり！うわあ嬉しいです。そして小鳥コメありがとう。そうなの、私も小鳥の虜です。すずめかわいいよすずめ＞＜。分かち合えてよかった・・・！！(震) (2017年1月17日 22時) (レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 新しい環境で大変なこともあるかと思いますがまた楽しみにしています！小鳥さん、初めて見たんですけど、腹がよじれるぐらい笑いました！完全に小鳥さんの虜です（笑） (2017年1月17日 19時) (レス) id: 82d00ff767 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - りりいさん、お久しぶりです！覚えていらっしゃいますでしょうか…？またりりいさんの作品が読めること、とても嬉しく思っています。うだうだの方は二度見…いや三度見しましたw(続く) (2017年1月17日 19時) (レス) id: 82d00ff767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりい
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=lily1022
作成日時：2017年1月16日 23時
