第五話 〜父と小説と〜 ページ5
図書室から部屋へと戻る時の事だった。
(それにしても、全ページの内容を覚える程って…どれだけ読み込んでたんだろう)
私が感心してその本を繁繁とながめていると、隣の居た彼女が突然声を上げた。
「お父様！……お久しぶりです。お家に戻られたのですね」
嬉しそうな表情でお父様と呼ぶ人物に話しかけるが、当の本人は、ちらとこちらを一瞥した後、隣に居る秘書らしき者と話しながら奥へと去っていった。
「………」
残された彼女は、困ったような、悲しいような表情でその後ろ姿を見つめている。
「…旦那様と、会話はなさらないのですか？」
「仕方ないわ。お父様は忙しい方ですもの。私なんかが、仕事の邪魔になっちゃダメだから」
そう言う彼女は、自分自身に言い聞かせているようにも見えた。
(今の男がA中信、か…)
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
部屋に戻ると、早速借りてきた沢山の本を広げる彼女。
「…A様は、本がお好きなのですか？」
「うん、好きだよ。外の世界がどんな風なのか…色んな本を読んで、想像するのが好きなんだ」
(そういえば…彼女は生まれつき体が弱く、外に出た事が無いんだったっけ…)
「ねぇ、太宰くんは外の世界がどんなのか、知ってるんだよね？」
「はい。まぁ…ひと通りは。
でも恐らく、本に書いてある事と対して変わらないと思いますよ？」
「じゃあ、外の世界では車が空を飛んでいるって本当なのね！」
「えっ」
「え？」
車が、空を飛ぶ…？……何を言っているんだい、この子は。
「あれ、違うの？本にはそう書いてあったのにな…」
「いや、それファンタジー小説じゃないのかい…？」
私は汗をかいてツッコミを入れた。流石にファンタジー小説と現実は一緒じゃないだろう。
「ふふ、今太宰くん、ちょっとだけ普段の姿を見せたね？」
「…え、あっ……」
急いで口を抑えるも遅い。今度は完全に気付いたらしい。
(……何でだろう。彼女の前ではすぐ素が出る)
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太宰愛華(プロフ) - 凄く面白いです!!何だか太宰さんが可愛くみえます。 (2017年4月7日 13時) (
レス) id: 003b9a1db1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - 海月さん» フラグの方、外し忘れをしておりました。ご指摘頂きありがとうございますm(_ _)m (2017年1月5日 16時) (レス) id: 718f02a46e (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - こんにちは。「オリジナルフラグ」が外れていませんよ。違反行為ですので、速やかに外してください。 (2017年1月5日 16時) (レス) id: f08cf5272d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ | 作成日時：2017年1月4日 14時
