第四話 〜本〜 ページ4
ガチャリと音を立てて扉の中に入る。
そして、今日もまた執事としての仮面を被り、偽らなければならないのだ。
「おはようございます。お嬢様」
「おはよう。太宰くん」
仕え始めて早一週間。彼女は結構早起きらしい。
あ、と何かを思い付いた様子で私の方を向く。
「今日は少し寄りたい部屋があるんだけど、いいかな？」
「寄りたい部屋？勿論構いませんが…」
この屋敷は広い上に部屋が多く、寄りたい部屋と言われても予想ができない。
「そう。図書室に寄りたくて」
「図書室…ですか。
畏まりました。それでは私もご同行させて頂きます」
「あはは、まだ硬いままだね。じゃあ、早速向かおうかな」
「も、申し訳ございません…」
彼女と打ち解けるためには、どうやら多少仮面を外した部分を見せなければならないらしい。…困ったものだなぁ
しばらくすると、図書室の前に到着した。ギイィ…と音を鳴らして扉を開く。
「どうぞ、ご入室下さい」
「ありがとう。えっとー…」
図書室に入るなり、彼女は沢山の本が並ぶ中、すいすいと足を進める。お目当ての本が決まっているのだろうか。
「あったあった。太宰くん、これ」
「はあ… “完全自 殺読本”…？」
手渡された本のタイトルにはこう記されている。
「そう。それ、すごく面白いの。」
彼女は楽しげな様子で私に詰め寄りかける。
「致死性の高い毒キノコを食べる。とか、ドラム缶に足を固定して放置。とか…とっても可笑しな方法ばかり書いてあって。
誰かに自 殺をして欲しいっていう訳では決してないけど…実践してみて欲しい気持ちはあるなぁ」
「…それはまた、変わった本ですね」
内心、そんな本があるなら実践はともかく、是非とも読みたい。
が、今そんな事を口に出したら最後だ…惜しい気持ちもあるが、一般的な反応で流すしかない。
「あ、そうだ。折角だからこの本、太宰くんにあげるよ。読んで感想を聞きたいし」
「え！！本当に良いのか、い………」
…………
やってしまった。
「うんうん。面白そうでしょ？」
彼女は、興味を持ってくれて嬉しいという反応に手一杯の様子。
……なんとか助かったみたいだ。
「ごほん…宜しいのですか？私何かが頂いても。
A様の大切にしてらっしゃる本では？」
「あー…えっと……私は読み返しすぎて内容を覚えているし。良いよ？」
「！…ありがとうございます」
今度、読んでみようかな。
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太宰愛華(プロフ) - 凄く面白いです!!何だか太宰さんが可愛くみえます。 (2017年4月7日 13時) (
レス) id: 003b9a1db1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - 海月さん» フラグの方、外し忘れをしておりました。ご指摘頂きありがとうございますm(_ _)m (2017年1月5日 16時) (レス) id: 718f02a46e (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - こんにちは。「オリジナルフラグ」が外れていませんよ。違反行為ですので、速やかに外してください。 (2017年1月5日 16時) (レス) id: f08cf5272d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリィ | 作成日時：2017年1月4日 14時
