カルエゴくんとシチロウくん。 ページ8
本日…Aはリリスの再来とまで言われる事となる。
私は貴方のモノにはならないわ、好きにだ何てなってはあげない…貴方が私を愛してくれてもそれじゃあ満足出来ないもの。私が欲しいなら人生全て、この身すら捧げ投げ打ってでも私を一番にして。それ程までに強欲な愛が欲しいのだ。
その強く秘めたる想いを言葉に乗せて記憶に懐かしい男達を想像する、でも私は靡かないわ…だって愛に生きた強欲なリリスだもの。男の骸を見下ろして沢山の貢物を手放して身を翻し歩いて行く。ねぇ、今度こそは素敵な愛に出逢えるかしら?
麗しく透き通るAの声にその場にいた、いや教室から漏れ出る声に吸い寄せられた老若男女問わずの悪魔が赤面した。艶っぽさに愛を欲する女の色香に呆然としたし、こんな少女がそう容易に存在して良い筈がない…本当に同級生か、そう勘繰ってしまうし彼女を暴こうとする輩がいたとしても…その美しさや気高さに指先一つすら触れる事を許されない。
カルエゴは唇を噛み締める…待て、有り得ない、認めたくない。間違いであって欲しかった。だがしかしこの胸の高鳴りと切なくなる程の息苦しさは…きっとこれが【恋】なのだろうと。当たり前だ、先程から言った通りカルエゴは恋をした事がなかったのだ……だからこそ、全て気の迷いだと決め付ける事にした。ただ声に圧倒されただけだと…それなのに、どうだった?と照れくさそうにはにかむAが余りにも酷くキラキラと輝いて見えた。
シチロウはギュッと胸を押えた、彼は飽くなき探究心の悪魔である。普段Aの事は興味深く面白い優しい悪魔だと思い接していた、それは恋心とは無縁の感情である。しかし今はそれとは別の感情が支配する。が、しかしシチロウは他人の感情に鋭くても自身の感情にはめっぽう弱く鈍感であった。酷く心臓が痛み、頬が炙るように熱くなった。けれどもその答えはまだ知らない。Aと目が合う、言葉にならない感情にムズムズするシチロウは興奮しながら「二人共、上手だった!」と笑ったのだ。
割れんばかりの拍手と、これなら優勝は間違いなしだと大盛り上がりな周りに我に返ったカルエゴの「貴様らも練習せんか!」と言う鶴の一声で蜘蛛の子を散らすように各自の演奏へ戻って行った。Aは目を細めて上品に笑っており、その笑顔に硬直し言葉を詰まらせ舌打ちするカルエゴがいる。他人には鋭いシチロウははっ!としてもしかしてカルエゴくんって…と微笑ましげに二人を見ていた。
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ふゆ(プロフ) - お気に入りに追加失礼します。小説、めちゃくちゃ最高です。神かな、神なのかな?神n((((×???(よかったらキリヲ先輩も出して欲しいです《リク(無理にとはいいません)》何かあって夢主の精神がヤバイときにキリヲ先輩だけに悩みを言えるみたいなのが欲しいです🙇 (4月24日 17時) (レス) id: 2bf5e7b9f5 (このIDを非表示/違反報告)
カニ - 面白い (12月27日 15時) (レス) @page1 id: 3289ba78cf (このIDを非表示/違反報告)
カニ - 面白い (12月27日 15時) (レス) @page34 id: 3289ba78cf (このIDを非表示/違反報告)
紫きゃべつ(プロフ) - 更新されるたびに読んでます。最高でした…………。ちなみに、イチョウ先生出して貰えませんでしょうか…………。(無理言ってすみません。) (2023年3月12日 9時) (レス) id: e2ed0269e2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - ありがとうございます!今確認してコメント貰えて感激しておりました🥰ゆっくりで申し訳ございませんが頑張りますので宜しくお願い致します😌 (2023年1月22日 23時) (レス) id: 20a6d91668 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空 | 作成日時:2023年1月15日 8時