リリス・カーペット【魔入間（夢小説）】

シチロウくんと私。 ページ5

Aはとてもプリンセス体質な女悪魔であった、それは収穫祭の日に何気なく鼻歌で歌っただけの事だ。しかし耳のいい大型魔獣がA目掛けて突進して来たのだ、男達は彼女を守ろうとするも相手にならずに吹き飛ばされてしまう…俊敏な動きでAの元まで辿り着いた魔獣はゆっくりと巨体を動かしその場に平伏したのだ。男悪魔だけでなく、魔獣すらも手玉に取るAにそれを見たシチロウはドキドキとときめいて興奮した。収穫祭を終えたら必ずAに話を聞こう、そう未だに魔獣の中心で歌う彼女の姿を見て集中力を高めた。

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貢ぐ、貢ぐ、貢ぐ。彼女の笑顔が見たいから、彼女のありがとうと言葉にする声を聞きたいから、彼女の甘い歌声を聞きたいから、それはまるで簡単に出会えるアクドルに貢ぐオタクと同じ心理であった。Aに不純な行動を取れば、即座に控える魔獣達が悪魔を取り押さえる。言わばSPのような存在と化していた。Aだけまともな収穫祭をしていない気がする…？と言うのはご愛嬌という事で。初日から最終日まで一人だけずっと動く事もなく、魔獣に守られながらぐっすりと睡眠を取りずっと優雅な収穫祭(一度も収穫すらしていない行為)を行っていたAであったが、沢山の貢ぐ悪魔や魔獣のおかげか結果は三位という好成績を収めた。

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「Aちゃんって、どこか魔族の末裔だったりするの？今回の収穫祭、僕すっごく興奮しちゃったからね！色々と詳しい話を聞きたいんだけど構わないかな？」
「それは勿論構わないけど…先ずは優勝おめでとう、シチロウくん」
「！、ありがとう…まさか優勝出来ると思っていなかったから驚いたよ」
「二位はカルエゴくんだったよね、二人共強いなぁ…」
「いやいや、凄いならAちゃんの方だよ…一歩も動かず周りを従えちゃうんだもん。本気を出されてたらきっと僕すらも叶わなかったと思うし…因みに従わせたのはやっぱり発声や歌声にあるんだよね？」
「えぇ、これでもセイレーンの末裔だからね」

セイレーン…海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし遭難や難破に遭わせる。歌声に魅惑された挙句セイレーンに喰い殺された船人たちの骨は、島に山をなしたという。そんな神話のある怪物だ。但しまだ威力は弱い為、効く悪魔と効かない悪魔がいるのだが…まぁ魔獣が近付き従順になったのは歌声ではなく元からある素質や体質の問題らしいが。それを伝えれば興味深そうに聞くシチロウにAは笑った。

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