カルエゴくんとシチロウくんと私。 ページ4
バラム・シチロウは驚きで目を丸くさせていた。あれだけAを毛嫌いまでとは行かずとも、苦手意識を持っていたカルエゴがAと普通に会話をしているからだ。と言ってもAが話し掛けカルエゴは愛想もない返事を返すだけと言う状況にある為、あれは会話していると言うのは少し違うかも知れないが…とは言え、いつの間にそこまで進展して仲良くなったの?という思いで二人を遠くの方で眺めていたが、Aは直ぐにこちらを気付き笑い掛けて手を振った。周りを見渡してシチロウは直ぐに自分へ向けて手を振ってくれたのかと理解する、そして恐る恐る近付くシチロウに彼女は挨拶した。
「おはよう、バラムくん」
「えっ、あ、うん。おはよう?」
えっと…?と交互に見るシチロウにAは察する、そしてこの数日前に学食堂で悪質なナンパから助けて貰った事を言ったのだ。シチロウからすれば、あのカルエゴくんが苦手だと言っていた彼女を助けたの?と驚きや興奮で目をキラキラさせていた。当事者であるカルエゴは舌打ちし二人から視線を逸らしてしまったが…
「後、カルエゴくんの傍にいると男が寄って来ないから…」
私、静かな空間の方が落ち着いて好きなの…独り言でどこか悲しそうに目を細めたAに二人は顔を見合わせる。Aがモテるのは致し方ない事だが前世の事を思うに、男達へ言い寄られ過ぎても余り嬉しく感じない。慕われるのは良い、しかし毎度見ず知らずの悪魔から好意を寄せられるのは正直疲れる。
好き勝手に解釈して傲慢な態度で、お前は俺の伴侶になるに相応しいだとか言われても困るというものだ。リリスは愛に生きた女だと言われているが、大半は執拗い男にゲンナリしてもっと静かに余生を過ごしたい…と願い続けていたのが本音である。だからこそ今世Aとして生まれたならば、今度こそ誰にも振り回されず自由気ままに過ごしたいと思うのは仕方ないだろう。
「話し掛けるきっかけが掴めなかったから、これから仲良くしてくれると嬉しいな…宜しくね、シチロウくん」
周りの男達が羨ましげに見て来るが、Aはシチロウから目を逸らさない。真っ直ぐ凛とした表情で落ち着きのある雰囲気の彼女にシチロウは目をぱちくりさせて、マスク越しに口元を触れてから少し考える素振りを見せた。そしてゆっくりと目を細め口を開いたのだ。
「こちらこそ、宜しくね」
と。それを見ていたカルエゴは面倒くさい事になった…と諦めたようにため息を吐いた。
234人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふゆ(プロフ) - お気に入りに追加失礼します。小説、めちゃくちゃ最高です。神かな、神なのかな?神n((((×???(よかったらキリヲ先輩も出して欲しいです《リク(無理にとはいいません)》何かあって夢主の精神がヤバイときにキリヲ先輩だけに悩みを言えるみたいなのが欲しいです🙇 (4月24日 17時) (レス) id: 2bf5e7b9f5 (このIDを非表示/違反報告)
カニ - 面白い (12月27日 15時) (レス) @page1 id: 3289ba78cf (このIDを非表示/違反報告)
カニ - 面白い (12月27日 15時) (レス) @page34 id: 3289ba78cf (このIDを非表示/違反報告)
紫きゃべつ(プロフ) - 更新されるたびに読んでます。最高でした…………。ちなみに、イチョウ先生出して貰えませんでしょうか…………。(無理言ってすみません。) (2023年3月12日 9時) (レス) id: e2ed0269e2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - ありがとうございます!今確認してコメント貰えて感激しておりました🥰ゆっくりで申し訳ございませんが頑張りますので宜しくお願い致します😌 (2023年1月22日 23時) (レス) id: 20a6d91668 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼空 | 作成日時:2023年1月15日 8時