第3章 9と3/4番線からの旅 ページ13
次の日の朝、アリシラは四時過ぎに目が覚めた。
興奮と期待と緊張とですっかり目が冴えてしまったので、ベッドから這い出て着替えることにした。
昨夜しもべ妖精が置いて行ったのであろうマグルの服を手に取る。
さすがに魔法使いのローブを着て駅に行くとは思えなかった。
大勢のホグワーツ生がマントを靡かせてキングズ・クロス駅に向かっていたらマグルはきっと驚いてしまうだろう。
着替え終わるとドアの脇に置いておいたトランクをもう一度あけて今度は丁寧に忘れ物がないか確認した。
「あ」
アリシラは毎晩寝る前に本を読んでいる。
この前母に買ってもらった『幻の動物とその生息地』だ。
その本を学校に持っていこうと思いながらすっかり忘れていた。
荷物の一番上に本を置くと、アリシラは慎重に鍵を閉めて朝食まで時間があるので髪を結うことにした。
六時間後、アリシラは髪に輝く蛇の髪飾りをつけて重いトランクと共にマグルのタクシーに乗ってキングズ・クロス駅に向かった。
駅に着いたのは10時過ぎでアリシラは母が持ってきたカートにトランクを乗せ、歩き出した。
9と3/4番線にはすんなりと行くことができた。
柵に向かって駆け出すことに躊躇していたアリシラに母がほぼ強制的にカートを柵に走らせたことを除いてだが。
アリシラは後から続いた祖父、祖母、そして両親と共に空いた席を探して回った。
もう最後尾だという車両までくると後ろから祖父が声をあげた。
「発車まであと5分しかないから車内に入って探しなさい。乗り遅れるぞ。」
カートを母に渡すと、アリシラはトランクを抱えて車内に入る。
重いトランクを持って車内を歩き回ることは大変で、発車の笛が鳴った時ですらまだコンパートメントを決められていなかった。
とりあえずアリシラは車内の隅にトランクを置き、家族に別れの挨拶をする為に列車のドアに走りよる。
「アリシラ！着いたらフクロウ便頂戴ね！」
母の姿がもう小さくなっていた。
「わかったわ！」
アリシラはドアの窓から身を乗り出すと母たちに手を振る。
汽車がカーブを曲がって駅の姿が見えなくなるまでアリシラは顔を出していた。
家々がどんどん後ろに滑って行く。
アリシラはもう少し見ていたいと思ったが、まだコンパートメントを決められていない。
渋々窓から身を引っ込めた。
ガンッゴンッカラカラ…
引っ込めるときに窓枠に頭が当たり、何かが落ちた音がした。
大変。ドラコにもらった大切な髪飾り…
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きむい(プロフ) - noppiさん» コメントしてくださり本当にありがとうございます😭更新は不定期になると思いますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年7月17日 18時) (
レス) id: e08f4d945f (このIDを非表示/違反報告)
noppi(プロフ) - 更新まってます！！ (2022年7月6日 16時) (レス) @page18 id: b90efc2fe0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きむい | 作成日時：2022年6月12日 9時
