ネバーランド

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私も、こんな世界に生まれていたら、少しは悲しくない、優しい人間になれたんだろう。

叶わない夢を胸に閉まって生きていくより、この手から零れ落としてしまった方が楽に生きられる私は、そんな夢を手放して、自分の足でぐしゃぐしゃに割ってしまった。

その破片が靴の裏についてないか確かめた時、今まで自分が上靴で走っていたことに気づく。

―美術室から、こんな世界に来られる夢なんて…

なんて素敵で、都合の良い夢なのだろう。

こんな自分でも、まだメルヘンさが残っていたんだと、驚くより呆れた。

いや、逆に私がこんな人間だからこんな世界に憧れるのか。

―まぁそんなことはどうでもいいわ…

歩いていると、通路みたいなところに入った。

―ここは?

不思議に思い、未来型の改札のようなものを通ると…

ビーッ!ピーピーピービー!

「えっ!?」

大きな機械音が突然鳴りだした。

「なにこれっ」

はじめは、私が通った改札からだけが鳴っていたのに次第に数は増えていき、ここに立ち並ぶ改札全てが一斉に鳴って鳴り止まない。

「どうしたらいいの…!」

ここにいたら、何か悪いことをしたような、罪悪感で胸がいっぱいになる。

とりあえず私はその場から逃げ出した。

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