🌹 ⛓🔐 ページ18
口から出ているチューブの先端をすこしだけ監督生の身体に押しつけた。喋りたい。喋れないのが、いちばん今は不安だ。
「お喋りしますか?頑張ったからいいですよ」
「!」
喋りたい。喋りたい!そう思って監督生を見上げていると、監督生はいとも簡単にボクの頭の裏でとまっていたベルトをパチンと外して──
「〜〜〜ぉえッ!」
「あーあー吐いちゃった……そりゃ吐きますよね。苦しかったですね」
太くて長い、なんでそれが入っているのにボクはそこまで苦痛を覚えていなかったんだろう──少しは覚えていたけど──っていう感じの口から胃まで通っているチューブを指でつままれ勢いよく引き摺り出されて、思わず嘔吐した。監督生に罵倒されるか罰でも与えられるかと思わず身構えたけれど。
「ふふふ、かわいい」
監督生はボクの吐瀉物だらけの口にキスしてきて、歯を舐めて隙間に舌を入れようとしてきて──口をあけろと強請ってくる。
わからない。わからないけど従っておくと、口の中を、舌の先を、歯の裏を舐めてもらえて身体が震える。監督生の膝には吐瀉物が広がっているのに、それを一切気にしないでくれてありがとう、と心の底から思う。嬉しい。喉の奥から変な声が出ているのを感じる。よくわからないけど──よくわからない。監督生が舌をボクの口から抜いた。
けほ、と吐瀉物のにおいがする咳をした瞬間に、自分が口から呼吸をできることを知った。知って、衝撃を受ける。
できる。
できるんだ。鼻に入っているチューブからは変わらず空気が出たり入ったりしているけれど、それでも──できる。自由に。好きな時に息を吸えて、吐ける。それは──今までに経験したことがないほど幸福なことで──ボクは必死に口呼吸をしながら、しかしこの幸福を引き延ばす為にはどうしたらいいのかわからなくて、とりあえず監督生の膝に吐いた吐瀉物を舐め取り飲み込む。機嫌をとる為に。
監督生を上目遣いに見やると、頭を撫でられた。
「良い子ですね。良い子。そういうことする子、私大好きですよ」
はふはふ、と呼吸ができるのが気持ちいい。頭を撫でられると安心する。
ぜんぶ舐め取って飲み込んで監督生を見上げて──なにか言いたいことがあったのを思い出さなければいけない気がしたけれど。上手に喋ることができない。機嫌を損ねるのが怖い──
「お喋りしたそうだったから外してあげたのに」
「あッ……!あ、あぃが……ありがと、う、かんとくて……」
「舌回ってないですね。かわいい」
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功徳(プロフ) - コロッケさん» わーい🥰🙌ありがとうございます 頑張ります (11月11日 3時) (レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
コロッケ - 最高です*\(^o^)/*続き、気長に、楽しみに待ってます! (11月5日 13時) (レス) @page29 id: 0002858abd (このIDを非表示/違反報告)
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