【ハイキュー！！】うそからはじまる。 (ページ23)

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及川side

ほんとに偶然だった

明日提出の課題を机に入れっぱなしになっていたのを思い出して、教室に戻っていた

｢危ない危ない、あの先生課題忘れたら怒るからなぁ…｣

ほとんどの生徒は帰宅か部活へ
おかげでいつもの騒がしさは鳴りを潜めていて

階段を下りる自分の足音と声さえも
はっきりと大きく聞こえた

だから、すぐにわかった

ガタン、とどこかの教室で何かが倒れる音
すぐさま響き始める足音

｢(近づいてきてる……？)｣

慌てて下りてきたばかりの
階段の影から上を見上げてみる

｢(あれってAちゃん？)｣

西日に照らされた女子生徒
間違いない、一瀬Aだ

確か、今日は岩ちゃんと出掛けるって――――

こちらに気づく素振りもなく
思い詰めた顔で佇む姿はなんとも痛ましい

そう言えばマッキーが言っていた
松川から先に帰ってくれって連絡が来たって

もしかしてAちゃんは……
それなら岩ちゃんは……

様々な思いが駆け巡るなか
ここにずっといるわけにもいかないから

俺はその場所を後にした

生徒玄関には当然のように岩ちゃんがいて

いつもみたいにくだらない会話をして
岩ちゃんを校舎へ送り出す

｢ごめんね、岩ちゃん｣

恐らく届かないであろう言葉と共に