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病室を出るとすぐに、
身体の所々に
包帯を巻いた女の子が
近づいてきて、
いきなり私の目の前で涙を流す。
『…永瀬さんの、彼女さんですか?』
言葉に詰まった。
返す言葉が見つからなかった。
『…全部、私のせいなんです』
ごめんなさい、と
それだけをひたすら繰り返し
蹲る彼女の肩を抱く。
「顔上げて」
頭の中で全てが一致した。
そういえばさっき友人が言っていた、
廉は女の子を庇って事故に遭ったと。
きっとこの子はその当事者なのだろう。
「あなたが無事でよかった」
『…っ……』
「きっと廉もそう思ってる」
不思議と本気でそんな思いが
浮かび上がってきた。
決して嘘なんかじゃない。
廉なら、そう言うと思ったからだ。
「廉はすぐに目を覚ますよ」
『はい…っ…』
「じゃあ、私はこれで」
でもこれは、
自分への言い聞かせでもあった。
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浮かない表情のまま家に帰り
玄関のドアを開けると
いつものようにスタスタと
大きな足音が聞こえる。
紫「おかえり」
「…うん、ただいま」
紫「どうしたの、そんな泣きそうな顔して」
紫耀は私の肩に触れ
顔を覗き込むように視線を合わせる。
「ごめんね。ちょっと疲れちゃっただけ」
紫「ん。おいで」
逞しいその身体に包み込まれると
弱々しく紫耀のTシャツを掴んで
胸に顔を預けた。
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みう(プロフ) - umekoさん» コメントありがとうございます^^最初は廉くんオチにする予定だったのでタイトルがそのままになっていました。消させて頂きます。最後までご愛読頂きありがとうございました。 (2020年9月12日 1時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
umeko(プロフ) - はじめまして!楽しく読ませていただきました。そして、私も廉くん落ちだと思っていました…タイトルのRen.Nはなくても良かったんじゃないでしょうか?あとがき2を読まなければモヤモヤしたまんまでしたので、ありがとうございました★ (2020年9月12日 1時) (レス) id: 8cd4616c45 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - みうさん» ありがとうございます。後日また一話から読み返してみようと思います。Ren.Nと書かれていたので永瀬落ちかと思って読んでいたという先入観が邪魔をしてしまったのかなと思います。 (2020年9月11日 18時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます^^ながくなってしまいますので後々あとがきに追記させて頂きますので少々お待ちください。最後までご愛読頂きありがとうございました。 (2020年9月11日 17時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - lieというのはもしかして「嘘」と「横たわる」の二つの意味を持たせていますか?完結してもなお煮えきらない感じでむず痒いですが、結局のところはどうなのでしょうか?伏線回収や解説も載せて頂けると幸いです。 (2020年9月11日 16時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みう | 作成日時:2020年8月5日 18時