4 ページ4
.
あの日、
廉と久しぶりに再会した日。
あれ以来、何故か毎週金曜日
バイトが終わり最寄りの駅に着くと
当たり前のように廉が待っているのが
日常になりつつあった。
「え？」
廉「よっ」
「いや、え？なんで？」
廉「ちょっと飲むの付き合ってや」
「は？」
最初の頃は交わしたこんな会話も
今じゃもうそんなことしなくなって、
約束なんて堅苦しいものはせず
言葉にしなくても
今日もまた2人で足並みを揃える。
.
こうやってまた
前のように廉と話すようになって
分かったことがある。
それは、廉はとてつもなく
人の懐に入るのが得意で、
それでいてとても甘え上手だということ。
こんな姿、
高校生の頃の私は知らなかった。
クールで、あまり口数が多くないのが
当時の廉のイメージで、
こんなにも人懐っこいなんて
想像もしたことがない。
あの頃、
どんな気持ちで廉と付き合っていたのか、
そんなことも思い出せないほど
私の中では色褪せてしまっていたのだ。
「廉ってさ…」
廉「ん？」
でも、これだけは覚えている。
高校2年生の夏、
少し蒸し暑い教室の中で
私のことを好きだと
言ってくれた日のこと。
少しぶっきらぼうにも思えた
好きの二文字。
唇を固く結んで
私を捉える色素の薄い廉の瞳。
腕まくりした白いシャツからは
夏になって少し焼けた肌が
覗いていた。
「私のどこが好きだったの？」
廉「おー、えらいド直球やな」
「いいじゃん、教えてよ」
同じクラスでも、
ほとんど喋ることがなかった私たち。
どちらかというと
私の友人との方が
廉は仲が良かったような気がする。
私はその傍らで笑って相槌を打って
話を聞いているだけの存在だった。
だから廉が告白してくれた時
嬉しさの反面、
少しだけ疑問を感じたのを
なんとなく思い出す。
廉「んー、なんかさ、A見とるとほっとかれへんねん」
「え？」
廉「多分さ、一目惚れ」
「…」
廉「お前、自分から聞いといて黙り込むのはないわ」
「いやだって…」
廉「別れる時も、俺本当は納得なんてしてなかったよ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みう(プロフ) - umekoさん» コメントありがとうございます^^最初は廉くんオチにする予定だったのでタイトルがそのままになっていました。消させて頂きます。最後までご愛読頂きありがとうございました。 (2020年9月12日 1時) (
レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
umeko(プロフ) - はじめまして！楽しく読ませていただきました。そして、私も廉くん落ちだと思っていました…タイトルのRen.Nはなくても良かったんじゃないでしょうか？あとがき2を読まなければモヤモヤしたまんまでしたので、ありがとうございました★ (2020年9月12日 1時) (レス) id: 8cd4616c45 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - みうさん» ありがとうございます。後日また一話から読み返してみようと思います。Ren.Nと書かれていたので永瀬落ちかと思って読んでいたという先入観が邪魔をしてしまったのかなと思います。 (2020年9月11日 18時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます^^ながくなってしまいますので後々あとがきに追記させて頂きますので少々お待ちください。最後までご愛読頂きありがとうございました。 (2020年9月11日 17時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - lieというのはもしかして「嘘」と「横たわる」の二つの意味を持たせていますか？完結してもなお煮えきらない感じでむず痒いですが、結局のところはどうなのでしょうか？伏線回収や解説も載せて頂けると幸いです。 (2020年9月11日 16時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みう
| 作成日時：2020年8月5日 18時
