永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ40)

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廉「おい押すなって！あぶな…っ！」

じたばたしてる私のせいで

落としてしまった二つの懐中電灯。

廉「あっ、」

あ「えっ、」

しまいにはバランスを崩した永瀬くんが

前へ倒れそうになって、

しがみついてた私も引きずられるように前へ倒れ、

そのまま二人同時に床へ崩れた。

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いった…くない。

咄嗟に閉じた目をゆっくり開ける。

廉「重い。」

あ「は…っ！！！」

目の前には眉間に深く皺を寄せ、

鬼の形相をした、まさに極悪人の顔。

あ「ごっごめん…！今すぐ退きます！！」

…あーあ。

これでまた怒られるんだろうな。

「痛いやんかボケ！」とか

「あれほど言ったよな」とか。

キレられる覚悟をした。

廉「…ん。」

…けど。

キレられることはなかった。

その代わり、そっぽ向いて、

差し伸べられてきた手。

えっと…これは…

イマイチ状況が理解出来ず、

その手をジッと見つめ、首を傾げる。

廉「変に強がられても面倒なだけやから

怖いなら怖いて言えや。」

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