永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ24)

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廉「いただきまーす」

誰も居ない理科の実験室に移動し、

律儀に両手を合わせ、早速唐揚げを頬張る。

廉「これほんまにお前が作ったん？」

あ「そうだけど…」

えぇ……口に合わなかったかな。

あ「ごめん。美味しくなかった？

来る途中近くにコンビニあったから

そこでなんか適当におにぎり買ってくるよ。」

また淡々と文句言われる前に片しちゃおう。

お弁当片そうと立ち上がった瞬間、

いきなり手首を掴まれて阻止された。

廉「…なに勝手に片そうとしてん」

あ「へ？」

廉「…悪くないから」

ギリギリ聞き取れるくらいの声量で

ぶっきらぼうに言ったあと、

永瀬くんは再び食べ始めた。

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すごい険しい顔してたのに。

今は無我夢中でお弁当に食いつく姿を見て、

これは美味しいってこと…？

勝手にそう解釈した。

廉「料理作れるんや」

あ「ん？あ〜…それなりに？

私の家、母子家庭だからお母さんは朝から晩まで

働いててほとんど家にいないし

自分で作るしかないから。」

廉「…お前の家も大変なんやな」

あ「…ん？うん…？」

永瀬くんの最後の言葉が少し引っ掛かる。

お前の家"も"…？

"も"ってどういう意味なんだろう。

それだと彼の家も大変だって意味に捉えてしまう。

気になって聞いてみようか躊躇ってたら

廉「この玉子焼きあまっ」

あ「美味しいでしょ？」

廉「はぁ？普通玉子焼き言うたら塩やろ」

あ「我が家は砂糖なんですぅー」

廉「俺の味の好みくらい把握しとけよな」

あ「はぁ？

そんな我が儘言うなら食べなくていいですっ」

廉「あっ、待て。

誰も食べないとは言うてないやろっ」

そんなことよりも聞き捨てならない発言に

気を取られてしまって

聞く所ではなくなってしまった。

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