永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ25)

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あ「あーあ。早く帰りたい日に限って

なんで当番被るかなぁ」

貴重な部活休みの日にゴミ捨てジャンケンして

見事に敗北するなんてツイてなさすぎる。

丁度見たいテレビあったから

早く帰って色々家のこと済ませて

待機したかったのに。

胸の内でブツブツ文句垂らしながら

体育館裏付近にあるゴミ捨て場まで行くと、

あ「…永瀬くん？」

焼却炉の前で佇んでる後ろ姿を見つけて。

あ「何してるの？」

横に並ぶと焼却炉の中へ何かを投げてるのが目に入った。

あ「えっ…それって…」

永瀬くんが投げていた物。

それは、女子から恒例ごとくもらってる手作りの物や

お菓子などが入った袋だった。

あ「みんなが永瀬くんのために

一生懸命作った物なのにどうして…？」

廉「一生懸命作った？」

あ「そうだよ。

みんな廉のためにー…「ちゃうやろ」

廉「あいつらはどうせ俺の表面しか見てない。

表面上の容姿と性格だけやろ。

他にええ男居たらすぐそっち行く。

女の好きなんか信用できるか。」

あ「そんなこと、」

嘲るような冷たい目だった。

「そんなことない」って否定しようと思ったけど、

彼の目を見て言葉を詰まらせた。

廉「俺は、みんなが思うてるほど

完璧な人間なんかやないで」

まだ残ってる残り物は袋ごと焼却炉に投げ捨てて

彼は私の横を通りすぎて行った。

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