永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ17)

今日:12 hit、昨日:29 hit、合計:829,679 hit

prince17 ページ17

.

郁「あーあ。はーちゃんと永瀬くんが

付き合ってたなんて。

私に隠すことなかったじゃない。」

「みずくさーい」って言いながら、

箸で摘んでたウィンナーを口に入れる。

あ「は、ははっ。ごめんって」

そんなこと言われても…ねぇ？

半ば強制的に決まった契約だから

隠してたわけではないんだけど。

郁「ね、二人きりの時の永瀬くんって

どんな感じなの？」

あ「あー…ん～」

この場合はなんて答えれば…

なんのシナリオもない今、

設定はただ付き合ってるってだけで。

ヘタになんか設定を作ってもややこしくなって

めんどくさくなりそうだし…。

あ「ふ、普通…？そう、普通。

みんなと同じように優しいかな？」

苦い笑みを浮かべ、無難な返ししか出来なかった。

郁「やっぱ優しいんだぁ～。いいなぁ～。

永瀬くん彼女には特別優しそうだもんねぇ」

きっと頭の中では

表向きの王子様姿の彼を浮かばせてるんだろう。

実際はキラキラの"キ"文字もない、

超絶の極悪人ってことを郁美に教えてあげたい。

あ「郁美は永瀬くんのこと好きだったのに

焼きもち妬いたりしないの？」

郁「ぜーんぜん。

永瀬くんはもちろん、顔はいいし

勉強も出来るしサッカーも上手くて好きだけど、

恋愛感情として見たことはないかなぁ」

あ「へ？そうなの？」

意外すぎる返しに間抜けな声が出た。

毎日遠くから彼を眺めては、

かっこいい～！とか付き合いた～い！とか

言ってたからてっきり恋愛感情として

好きなのかと思ってたのに。

郁「なんていうか…憧れ？って言うの？

ほら、永瀬くんって手の届かない存在じゃん？」

手の届かない存在…。

まぁ、郁美から見た永瀬くんはそうか。

女の子の誰もが理想とする王子様だよねぇ。

.