好きです、せんぱい。《水溜りボンド/トミー》

＃ ページ35

.



『…こっ、これはせんぱいだから見ているのであって、その、せんぱいという存在自体が好きというか…』



「……」



『…小さいも大きいも関係ないというか……』





せんぱいの顔が見られなくてどんな表情をしているのか分からないせいでどんどん声が小さくなる。

え、怒ってますか？それとも納得してくれてますか…？





「…今の俺の方が好きって言え」



『へ、？』



「…っやっぱいい、なんでもねぇ」





予想外の言葉の後、スッ、と離れていく温もり。

それがなんだかすごく寂しくて、振り返ってせんぱいの背中に抱きついた。





「っ、！？」



『あ、あの、今のせんぱいの方が…かっこよくて頼りがいがあって…好き、です』





自分から言うのは得意なはずなのに、言えっていわれると恥ずかしくて、途切れ途切れになってしまったけど。





「…知ってる」





こっちを向いて抱きしめ返してくれたせんぱいには充分に伝わったんだろう。





「お前は、今の俺だけ見てればいいんだよ」



『…ふふっ。分かってます、私にはせんぱいしかいませんよ』



「…A」



『はーい？』





返事をした瞬間、額に温かい感覚とリップ音。





「俺にもお前しか居ねぇかんな」



.

作者より＃感謝→←＃

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す