検索窓
今日:32 hit、昨日:2 hit、合計:70,939 hit

15 ページ16

阿部side


あれから水分補給をしっかりして、佐久間は調子がよくなっていった。

めちゃくちゃ肝が冷えた。急にカタカタ言って寒そうにしてるからね。
それと、冷房は効かせすぎは良くないと反省。


今は夜になる少し前、ぼんやりと空が明るい時間帯。
所謂、薄明と呼ばれる時間帯。

儚い雰囲気の空を背景に、佐久間にあった少し明るい曲を掛けていく。
俺はそれを黙って、動画に収める。たまには、外に出て佐久間が踊っているのをリアルタイムで見たいからね。
いつもは佐久間が自分のスマホで撮ったものを送ってくれる。だから、直接見るってことがあまり無い。


ぼんやりと様子を見ていたら、いつの間にか終わっていて、阿部ちゃん?なんて佐久間が不思議そうにしていた。

「…佐久間って、儚いよね。どこかフッと居なくなりそう」

「え、阿部ちゃんどうしたの!?暑さでおかしくなった!?」


いや、おかしくなったのはどちらかと言えば佐久間じゃない?俺はおかしくなってない、断じて。
どうしたのか気になる佐久間を落ち着かせてから、少し考える。


佐久間は儚い。

金髪で、ふわふわな髪だからか?

でもそれはいつもの佐久間。考えられるのは…。

「時間帯や場所、その時の状況が、関係してそうだね」

時間帯によって、人は思う事も違う。さらに、場所によっても違う。加えて、状況によっても異なる。
例えば、時間帯が朝で、混雑している駅という状況、ホームという場所になると、気持ちは憂鬱になる。だけど、同じホームという場所でもガラッと空いているという状況で、時間帯が夕方だったら、きっと違った思いになる。

つまり、薄明って時間帯と空を背景にできるこの場所、ストリートダンスをしている佐久間を見ているという状況が、俺に佐久間を儚いと思わせている。これが薄明って時間帯じゃなくて昼間だったら?色々と変わってくる。


「ふふっ…面白いな」

「え、阿部ちゃん。とうとう頭おかしくなっちゃった?」

「違ぇよ。撮り終わったでしょ?帰るよ」

「ちょ、待ってよ、阿部ちゃん〜!」



慌てて付いてくる佐久間を横目に、ふっと微笑む。
始終、佐久間がめちゃくちゃ心配していたけど。

16→←14



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
226人がお気に入り
設定タグ:あべさく , SnowMan , 雪男
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まっくろねこ | 作成日時:2020年7月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。