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阿部side
東京の某所。
とあるタワーマンションの一室。
「こんなものかな」
ぐーっと伸びをする。つけていたヘッドホンを外して、目の前に置かれているパソコンの、動画編集の画面から目をそらす。
そこに映るのは、今世間を騒がせているダンサーが居た。
彼の名前を、佐久間大介。あだ名は、さっくん。
ガチャっと音がする。あ、帰ってきた。
「阿部ちゃん!どうだったでやんす〜?」
「うん、良かったよ」
踊り終わって帰っきてたばかりで、汗だくなのに抱きついてこようとする。
全力で断ると拗ねるのは分かっている。
「抱きつくなら風呂終わってから。今日は佐久間頑張ってたから、佐久間の好きな事してあげる」
やったーと嬉しそうに、ぴょんぴょんと飛び跳ねる姿はストリートダンスをしている時とは想像が付かない。可愛い、と思いながら風呂に行くのを見送って再び作業に戻る。
と言っても、佐久間が動画を撮って、それを俺が見やすいように手直しをしてアップする。これを始めたのは、ちょっとした成り行きだ。有難いことに沢山の嬉しいコメントを貰っている。
サッとコメントに目を通すと、雑誌に出てみないかとお誘いの話だった。
うーん。
顔は基本的にフードで隠す。
もし、顔が見えても大丈夫なように夜の時間帯にストリートダンスをする。これらは全て身バレを防ぐためにしている事だ。
これを佐久間がなんと言うか、風呂が終わってから聞いてみよう。
そんな事を思いながら、ヘッドホンを所定の位置に戻して、佐久間の帰りを待つ事にした。
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作者名:まっくろねこ | 作成日時:2020年7月10日 23時