length and width【ars】 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:95,100 hit

23 ページ23

なんだかんだあったクラスマッチもとりあえず終わり、高校生活初めての夏休みが始まった。

私は部活に所属していないし、一ヶ月半くらいゆっくりできるー……

｢……わけがない…｣
｢生徒会入ってるからねぇ｣

ふふ、と斜め前の席で大野先輩が柔らかく笑ってる。生徒会入ったんじゃなくて入れられたんですけど、という言葉を飲み込んで、目の前の書類の山を呆然と見つめる。

うちの高校は夏休みが明けるとすぐに文化祭がある。初日は関係者以外入ることが出来ない学校も、二日目は一般公開をすることになっていて。

そのせいで仕事がとんでもなく多い。

招待券を受け取った人たちの名簿を作ったり、申し込み用紙の名前と照会したり。

学校見学も兼ねてるから週末に設定してて、入学を考えてる中学生やその家族も来る。事前申し込みの書類だけでとんでもない量だ。勘弁して。

｢松本……三浦……南……御村……深山……なんでここに鮫島？｣

先輩が｢Aちゃん独り言多いね｣と言いながらさ行の書類の束を渡してくれた。ありがとうございますどうも。

櫻井先輩と相葉くんは体育館で発表がある部活との打ち合わせにいってる。つまり生徒会室で大野先輩と二人。

正直初めてのことで少し緊張。独り言も増える。

｢中込……永山……新田……二宮……｣
｢あ、中学生の学校見学者は別でまとめてね｣
｢……え、今言います？｣
｢えへ｣
｢……二宮くんは中学生……あー駄目だやり直そう｣

あ行の冊子を手に取る。頭が痛い。

｢相澤……有明……井波……榎本……岡野……奥田……｣

世の中にはいろんな名字があるんだなぁ。なんて、逃避しても意味無い。書類は減らない。

｢あと中学生は学校ごとにファイリングして｣
｢了解です｣
｢あ、男女分けた方がいいのかなぁ。保護者も混ざってるよね。他校生は中学生と同じ？｣
｢……一気にお願いします｣
｢まあ細かいのは翔くん戻ってきてからにしよっか｣

……ということは？
櫻井先輩が戻ってきてから作業を続けなければ可能性が微レ存？

｢……大野先輩って、Sですか？｣
｢えぇ？｣

ふふ、と笑った大野先輩に、否定はしないんだ、と妙に納得して作業を再開する。

とりあえず中学生と他校生とそれ以外に分けてから学校を分類すればいいか。