『観覧車の告白』 ページ14
「あっ、そうだ観覧車！乗ろう！」
「いいな！」
ふたりは観覧車に乗り込んだ。…はいいものの、絵麻と翔は向かいに座っている。話しづらい。
「！…絵麻。」
「なぁに？」
「髪、ほどけてる。」
「えっ？やだー。」
「直すから、こっち。」
「うん…。」
「あのな、絵麻。これから話すこと、落ち着いて聞いてくれるか？」
「どうしてそんな…、聞けるわよ。」
「絵麻に掛かってる呪いを解くと、絵麻は死んでしまうんだ。」
「ウソ…よね？ねっ？」
「……。」
「じゃあ、私は！アイツに…！憎むべき相手に生かされて…？」
「…あぁ。」
「……いや。イヤよ！私は！」
錯乱状態に陥った絵麻は取り乱す。
ギュッ…
「ごめん。嫌なら突き飛ばしていいから…。」
謎のひとことを呟いた翔は、そっと抱き寄せた絵麻に
キスをした。
「ぁ…！」
一瞬驚いた絵麻だが、すっと瞳を伏せた。
どくんっ
ぴくりと絵麻の身体が震え、それに気付いた翔がキスをやめて「どうした？」と聞く。
「あ…えっと、」
「言いたくないならいいけど…。」
「先天性心疾患…たぶん、さっきキスした時に見えたの。昔の、過去の記憶が。」
「そっか。…今日はもう帰るか？」
「そうする。眠くなっちゃったかも。」
ゴンドラから降りたふたりは廃スーパーのところで別れた。曖昧になった好きかどうかは、気まずくて言えなかった。
ビクンッ
「っ！」
絵麻が家に着く直前、悪寒が走った。
(な、にこれ…気持ち悪い…意識が持ってかれ…？)
「ふぅ。ようやく、体を乗っ取れた。でも居心地が悪いわ。月は合わないの。」
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作者名：レイリア | 作成日時：2022年9月19日 14時
