男■性■恐■怖■症【夜久衛輔】

26→変わりたい ページ27

「でね！それで…」


貴「あはは！裕奈おバカー」









教室の隅。昨日の出来事について語ることが、私達の日課だった。


楽しかった。

お姉ちゃんができたみたいで、家族のいない私はそれだけで幸せだった。



帰れば孤児院。だったら今ある時間を大切にしようと思って、学校生活を送っていた。




そんな矢先、ポツリと陰険な呟きが聞こえた。



「調子のんなよブス」




初めは私のことかと思って下を向いた。



するとその男子は声をあげて笑い、








「違うって！百瀬のことじゃねーよ、隣にいるブスだよ」









悪びれもなく、そう言い放った。






貴「……え？」









驚きを隠せない。




そう言った顔で裕奈を見ると、悲しそうな震えた声で









「大丈夫！あっち行こう」



















何で気づいてあげられなかったんだろう。




教室で泣いている姿を見かけたことはあった。






だけど、怖くて歩み寄ることができなかった。









それから、泣いていた裕奈の代わりに私の目に映ったのは









寂しく咲いた、白い花。








貴「……なん、で……」

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