戦い ページ48
揺らぐ覚悟が、雲雀の判断を鈍らせていく
雲「っ…！」
徐々に形成が崩れる。Aが攻撃を繰り出し、雲雀は避けることしかしなくなっていった。避けきれずに、雲雀の細い体に傷が増えていく
負けられない。
その身体を無理やり動かし、雲雀はトンファーでできる限りの防御を行う。Aの、骨にまで届くような重い攻撃。だが、雲雀の心はさらに絶叫に近い悲鳴をあげていた
A、ねぇ。痛くてたまらないんだ。抱きしめてほしい。撫でてほしい。僕を呼んで、笑って。ねぇ。
殴りたく、ないよ
覚悟が揺らぎ、判断が鈍っていた雲雀はついにまともに攻撃を受けた
凄まじい衝撃を受け、目の前がチカチカと光る。トンファーが遠くへと弾き飛ばされたのを手の感覚から感じ取った。いっそ意識を手放してしまいたかったが、それでも雲雀は立ち上がろうとした。が、その行動は無意味なものになる。Aが空気の炎で雲雀の体を下へと固定したからだ。
雲「……A」
今度ははっきりと呼ぶ
Aは答えず、両手の中でくるくると炎が踊り、形作られ、銀色の鈍い光を放つそれを雲雀へと向けた。
拳銃。
雲「…僕を、殺すの？」
その声は先程まで雲雀を包んでいた感情からは考えられないほど穏やかだった
蘇芳色の瞳は動かない。
雲「…僕、ね。Aになら…殺されても、いいよ」
違う。自分の愛したAなら、だ。この、白蘭の作った壊れたAには絶対に殺されたくなかった
雲「君を守ることが僕の誓い。なのに…
もう…っ君はどこにも、いないんでしょ…？」
愛した人はどこにもいない。叫んでも、泣いても、助けを求めても、頭を撫でて大丈夫だと言い、雲雀を守った彼女はいない。
今目の前にいるのはAじゃない。
最初にそれを深く感じとってしまった。だから戦えなかった。あの洗脳を無くしたとして…それでAが帰ってくるんだろうか？そう考えた瞬間、誓いはずたずたに引き裂かれた
ふと、左腕につけられたシュシュが目に入った。それが幼い自分達が贈ったものと気付き、雲雀は絶句した後、笑いかけた。酷い笑顔だった
雲「そのシュシュ、持ってて、くれたんだね。A」
蘇芳色の瞳が揺れた気がした。だが、きっと気のせいだろう。雲雀はAの影を求める自分を嘲った。
雲「A、愛しているよ」
過去の君を。
雲雀は目を閉じた。響く銃声がどこか遠くに感じた。
微かに自分の名前を、あの子が呼んだ気がした
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雛。(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 黒猫様、ごめんなさい…(´･ω･`)前回の更新からだいぶ間が空いてしまいましたね…気を付けます (2018年12月24日 9時) (
レス) id: f844b188b2 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - 待ってました！更新ありがとうございます！！ (2018年12月20日 10時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - 過去を持ち込んでくるとはｯ!!本当雛様神……これからどうなるのか楽しみにしてます！ (2018年8月23日 19時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 黒猫♪♪さん» 雲雀さん小さい頃の旅行の時、夢主とやった約束をずっと守り続けていたのに夢主自体がいなくなってしまって迷子のような気持ちですね…(´・ω・｀) (2018年8月23日 18時) (レス) id: 420098c989 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - あぁぁぁ！！ひばりさーーーーーーん！！！！！ (2018年8月22日 7時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀条雛
作成日時：2017年8月12日 23時
