敵 ページ42
side.Yasu
タツは部屋に入ってくると、そのままリョウの方へ向かった。
リョウの顔を少し見つめて、
「光・・・。」
そう呟いた。
俺はゾクッとした。
“光”
タツが呟いたのはたったそれだけやったのに、
今アイツが纏っている空気は限りなく真っ黒に見える。
アイツは今何を思ってる?
アイツは今何をしようとしてる?
アイツの頭の中を探ろうとしたけど、靄みたいなものがかかってて分からんかった。
多分“意図的”にそうされてるんやと思う。
誰に?
どうして?
分からないことだらけやけど、ただ一つだけ。
今のアイツは確実に、
俺が守ろうと思ったアイツやない。
それだけは分かった。
タツは、右手を緑に染めた。
これはチカラを発動させた印。
そのまま、リョウの顔に手をかざそうとして………
「________________!?」
タツは驚いた顔で俺を見た。
緑に光るタツの手首を、しっかり掴む俺。
反射的に、体が動いた。
アカン！ってそう思ったから。
「・・・何してんねん。」
俺がそう尋ねると、タツはゆっくり首を傾げた。
なかなか答えないタツに少しイライラする俺は、タツの手首をさらに強く握る。
「答えろって言うてんねん！
今、リョウに何しようとした！」
「・・・・・分からへんの？」
その言葉の冷たさに、思わずタツの手首をパッと離した。
真顔で俺を見つめるタツ。
その瞳は真っ黒だった。
「お、お前その目……」
「思わへん?」
「は・・・?」
「リョウちゃんは何でも持っとるやん。
光も闇も。綺麗さも、強いチカラも。
何で、俺らは持てへんの?」
「・・・・。」
答えることができなかった。
でもそうやないって。
そう思うんやけど。
理由が言えない。
アカンもんはアカンって、それで生きてきたから。
「なぁヤス、俺が持ったらアカンの?」
「ア、アカン。」
「何で?」
「それは・・・。」
「リョウちゃんと俺の違いは何なん?
俺は光の世界で生きたらアカンの?
なぁヤス。
俺は、
・・・リョウちゃんのチカラが欲しい。」
「!!」
「リョウちゃんのチカラがあれば、俺は光で生きられる。
せやから、リョウちゃんには悪いけど、
どんな手を使ってでも、俺がもらう。」
タツはそう言って、ニッコリ笑った。
冷たい、冷たい笑みやった。
違う。
こんなん違う。
今目の前におるタツは、守りたくない。
俺は、優しい笑顔を浮かべるアイツを守るために契約を結んだんや。
せやから、今目の前におるこの男は、
俺の、敵。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんずみんと(プロフ) - 雅愛さん» コメント嬉しいです!ありがとうございます。こんな亀更新の作品を待っていて下さる方がいらっしゃると思うと本当に励みになります。ここから山場になりますので、ぜひぜひお楽しみに(*´▽｀*) (2017年9月29日 19時) (
レス) id: 9bdb6ebf5b (このIDを非表示/違反報告)
あんずみんと(プロフ) - NoahLさん» コメントありがとうございます。滞りがちだとは思いますが、一生懸命更新いたしますので、どうか最後までお付き合いください(●´ω｀●) (2017年9月29日 19時) (レス) id: 9bdb6ebf5b (このIDを非表示/違反報告)
雅愛(プロフ) - 初めてコメントします。この小説好きです!!楽しみに待ってますので、作者様のペースで、ゆっくりでも更新頑張って下さい！ (2017年9月28日 19時) (レス) id: 5040adfde3 (このIDを非表示/違反報告)
NoahL - メッチャおもしろいので頑張ってください!! (2017年9月19日 19時) (レス) id: 4c6cfc05cd (このIDを非表示/違反報告)
あんずみんと(プロフ) - ぱんだ野郎。さん» コメントありがとうございます(*´▽｀*)のろのろ更新だとは思いますが、ちゃんと完結させますので、ぜひぜひ最後までお付き合いください!!お楽しみに!! (2017年7月18日 21時) (レス) id: 72e4412768 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんずみんと | 作成日時：2017年4月15日 11時
