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「…っな、なに……!?」
「どっかでなんか爆発したんだろ。この辺じゃ珍しくもねぇよ。音も遠かったし、大丈夫だ」
宥めるように背中を撫でられる。…あったかい。彼の腕にしがみつく自分の手を見ると、少しだけ震えていることに気付いた。
さっきまでの恐怖が遅れてやってくる。やっぱり、怖かったんだ。心を無にしてやり過ごそうとしてたから気付かなかったけど、今更になって震えが止まらない。
涙が一粒落ちると、次々と溢れ出した。今まで溜めてた恐怖や不安も混ざって、いよいよ止まらなくなる。
ぎゅっと彼の腕を掴む。つぼ浦さんは何も言わず、黙って抱きしめるように、私の背や頭を撫でてくれた。情けない私を受け入れてくれてるような気がして、安心感で涙が出る。
そうやって私の震えが止まるまで寄り添ってくれていた。
「…も、もう大丈夫です。…すみません」
「もういいのか?無理しなくていいんだぞ」
「だ…、大丈夫ですって…」
いい年して泣くなんて、恥ずかしくて彼の顔が見れない。パッと離れると、彼は名残惜しそうに私の頭をひと撫でしてから、立ち上がった。
「あーそうだ、買い物してきたんだよ。武器も調達してきたから、Aも持っとけ」
「ちょ…調達って、よく買えましたね…」
ゴト、とピストルや手錠、グレネードなどが並べられる。どこで買ったんだろう。市内の武器屋で買うにはガンライセンスの提示が必須だ。そんな所で買ったら足がついてしまう。
そういえば、とブラックマーケットの存在を思い出す。ガンライセンスも身分証も必要ない、非合法の武器屋。北の砂漠地帯にあるから、ここからはそう遠くはないはず。
ふと、ひとつの考えが浮かんだ。確かブラックマーケットには、遠隔操作で起爆出来る、貼り付けるタイプの爆弾が売ってたはずだ。名前は…C4。
……さっきの爆発音は、なんだったんだろう。
「つぼ浦さん…これ、どこで買ってきたんですか」
「あ?……どこでもいいだろ、武器には変わんねぇんだから」
─────Aを泣かせる奴も、傷付ける奴も、俺が全員地獄に送ってやる。
さっきのつぼ浦さんの言葉を思い出す。彼の目は、これ以上ないくらい真剣だった。私を襲ったあの2人は、まだちゃんと歩けてるだろうか。
「……そうですね。ありがとうございます」
余計なことを考えるのはやめよう。
私はつぼ浦さんから武器を受け取って、懐にしまった。
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りりべら(プロフ) - めちゃめちゃ面白すぎる…!!🏺の小説探してたら文章整ってて読みやすくてこんな神作品に出会えるとは!!ワクワクしながら読ませていただいてます! (4月15日 15時) (レス) @page25 id: b5da5f8ee7 (このIDを非表示/違反報告)
remrem(プロフ) - うわあああなにこれ切ない悲しい………てか新作…!!!出ると思ってませんでした…ダークな感じもまた良いですね。相変わらずお話の作り方がお上手で、、もうこんな歪みの中🏺と主人公どうなるんだ…、更新楽しみに待ってますね…🫶🏻 (4月15日 1時) (レス) @page25 id: bb3768c104 (このIDを非表示/違反報告)
如月 - ねぇ泣いちゃう。忘れられちゃうのは悲しいよ…お願いだからハッピーエンドになって…このままだったら裏切られたままで主人公の心が壊れちゃう…🏺がいてよかった…更新待ってます😢 (4月11日 10時) (レス) @page14 id: 8435ceb2da (このIDを非表示/違反報告)
しろぐさ(プロフ) - 新作ありがとうございます…!!!!ずっと胸がバクバクしてました!笑更新頑張ってください!!楽しみにしてます!!! (4月10日 20時) (レス) @page14 id: d85abf0fbd (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - 新作ありがとうございます…!!息を飲むほどドキドキした展開で最高です……!更新楽しみにしています🥲💕 (4月10日 20時) (レス) @page11 id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑橘系 | 作成日時:2024年4月9日 22時