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緑side
病院について、メンバーの顔を見るまでほとんど記憶はない。
気づけば、真っ赤な目をしたジェシーに抱え込まれていた。
全身の力が抜けたように凭れかかれば、背中にぎゅっと頼もしい腕が支えてくれた。
みんな泣いていたけれど、俺は何故か泣かなかった。
....というよりは、泣けなかった。
北斗が目を覚ますのを見届けるまでは、安心できなくて。
ピンっと見えない糸で、涙腺を絞められているみたいに、1粒も溢れなかった。
一歩も動かない俺に、皆が気を遣ってくれたのか....
俺と北斗だけにしてくれたみたい。
きっと皆も心配で堪らないだろうに。
本来だったら、「一緒に待ってよう」って言うべきだったけれど。
出てきたのは、「ありがとう」というたった5文字。
最後までジェシーは心配そうだったけど、俺の頭をさらりと撫でながら微笑んで、部屋から出て行った。
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黒side
右手に暖かみを感じて、重たい瞼を無理矢理こじ開ければ、大きな2つの目とばっちり視線があった。
その目からは、目の大きさに似つかわしい大きな涙がボロボロと溢れ出して、俺の頬を濡らしていった。
慎「っほくとぉ...ほ、く....んぅ..北斗っ!!」
小さな子供のように、嗚咽を漏らしながら泣く慎太郎の右手を握ってやる。
本当だったら、頭を撫でてやるなり抱きしめてやるなり...ね?
そういう事をやってあげたいけれど、まだ身体がだるいし。
何よりも、小っ恥ずかしい。
泣きすぎて呼吸を乱している慎太郎に、まだしっかり呂律がハッキリしないけれど、声だけはかけてやりたかった。
北「..し..たろ...な...かなぁ..で」
慎「う...うん...うん...ほくとぉ」
しばらく、右手をそっと撫でてやったりぎゅっと握ってやったりすれば、落ち着いてきたらしい慎太郎が、ゆっくり話し始めた。
どうやら、知らず知らずのうちに甲殻類を摂取してしまったらしい。
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作者名:みかん | 作成日時:2020年12月8日 0時