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緑side

病院について、メンバーの顔を見るまでほとんど記憶はない。


気づけば、真っ赤な目をしたジェシーに抱え込まれていた。



全身の力が抜けたように凭れかかれば、背中にぎゅっと頼もしい腕が支えてくれた。



みんな泣いていたけれど、俺は何故か泣かなかった。



....というよりは、泣けなかった。



北斗が目を覚ますのを見届けるまでは、安心できなくて。

ピンっと見えない糸で、涙腺を絞められているみたいに、1粒も溢れなかった。



一歩も動かない俺に、皆が気を遣ってくれたのか....




俺と北斗だけにしてくれたみたい。




きっと皆も心配で堪らないだろうに。



本来だったら、「一緒に待ってよう」って言うべきだったけれど。



出てきたのは、「ありがとう」というたった5文字。




最後までジェシーは心配そうだったけど、俺の頭をさらりと撫でながら微笑んで、部屋から出て行った。


•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚



黒side

右手に暖かみを感じて、重たい瞼を無理矢理こじ開ければ、大きな2つの目とばっちり視線があった。



その目からは、目の大きさに似つかわしい大きな涙がボロボロと溢れ出して、俺の頬を濡らしていった。



慎「っほくとぉ...ほ、く....んぅ..北斗っ!!」



小さな子供のように、嗚咽を漏らしながら泣く慎太郎の右手を握ってやる。



本当だったら、頭を撫でてやるなり抱きしめてやるなり...ね?


そういう事をやってあげたいけれど、まだ身体がだるいし。



何よりも、小っ恥ずかしい。





泣きすぎて呼吸を乱している慎太郎に、まだしっかり呂律がハッキリしないけれど、声だけはかけてやりたかった。



北「..し..たろ...な...かなぁ..で」


慎「う...うん...うん...ほくとぉ」



しばらく、右手をそっと撫でてやったりぎゅっと握ってやったりすれば、落ち着いてきたらしい慎太郎が、ゆっくり話し始めた。



どうやら、知らず知らずのうちに甲殻類を摂取してしまったらしい。

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作者名:みかん | 作成日時:2020年12月8日 0時

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