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黒side


猛ダッシュで家に飛び込んで、まずは手洗いうがい。



樹の部屋にバタバタと飛び込めば、ジェシーに「パパ、静かに」だなんて宥められてしまった。



樹「...ぱ、ぱぁ..?おかーなさ...けほけほ」



しんどいはずなのに、笑顔を向けようとする樹に精一杯の笑顔を返す。




北「ただいま。樹、苦しいなぁ」

樹「ん...はぁっはぁ..じゅり、あたまくるし..」



真っ赤な頬に触れれば、くしゃっと顔を崩してポロポロと泣き始めた。



幼い樹なりに頑張ってきた糸が切れたんだろう。



北「樹、何なら食べられそ?少しでもいいから...」



薬を飲むには、少しでも食べて貰わないといけなくて..。



ゼリーでもプリンでも準備してあるけどさ、何となく樹が食べたいっていうものが分かってる。



.....多分うどん。




樹「...んぅ..はぁっ、..ちゅるちゅる..」



やっぱり。もっと小さい頃から、そうだったからね笑



北「ちゅるちゅるな。..すぐ作ってくるから」

ジェ「俺も、ちゅるちゅる!」



おどけたようにジェシーが言えば、樹はそっと目を開けた。



樹「じぇしゅにぃ..ちゅるちゅる..じゅりのぉ」


ふふっ笑
こんな時まで、食い意地を張っている幼子らしさに思わず口角が緩んだ。










樹は、1本か2本か...本当にちょこっとうどんを食べて寝てしまった。



薬を飲ませるためだったんだけど、ほとんど意識を失うようにこてんっと俺に倒れかかって。



そのままベッドに寝かしつければ、忙しなく身体を上下させながらも寝息が聞こえて安心した。



疲れがでたのか、ジェシーも座ったままこくりこくりと船を漕いでいた。



北「お兄ちゃん、お疲れ様...ふゎあ...ねむ」




気が緩んだせいか、一気に俺も眠気に襲われて。
息子2人の寝息に誘われるように、俺の意識は沈みこんでいった。





この時..薬を飲ませてやれば。
この時..寝なかったら。







もっとはやく、樹の異変に気づけていたのだろうか。

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作者名:みかん | 作成日時:2020年12月8日 0時

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