Through the rain 5 (ページ11)

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黒side

北「ジェシー....そ、の..ちょっといい?」

どうしても気になることがあって、ジェシーを呼び止める。

ジェ「なぁに?...なんか悩み事?」

俺の歯切れの悪さを見抜いてくれたのか、直球で聞いてきてくれた。

北「うん....その...家来てくんない?」

ジェ「え!?AHAHAHA!!!珍しい!」

嬉しそうなジェシーに、俺までほっこりしてしまうけれど。

この後、話さなくてはいけないことが頭にこびりついて離れなくて、どこか心が冷えたままになってしまった。

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ジェ「で...?どうしたの?」

ご飯と、少しお酒も入って身体も部屋も暖まってきたところで、ジェシーが今日の本題を聞いてきた。

プライベートだとね?

ジェシーは案外大人しくて、いつもより低くて落ち着いた声になる。

それもあいまってか、目の前にいるジェシーが頼もしくみえて。

ジェシーなら、あいつを救ってくれる。

根拠の無いその想いが、俺の中で強く大きくなった。

北「あのね...樹なんだけど」

うちの屋台骨に起きている緊急事態を、うちのシンボルに伝える。

たまたま見てしまった左手首に刻まれた、無数の赤い筋。

本当だったら、俺が助けてやりたいけれどさ

俺は口下手だし、そういうの上手くないから。

目の前にいる真っ直ぐで、太陽のような彼ならば、また樹をその光のもとに戻してくれるだろう。

ジェ「...は、..その..あ、かい..っていうのは」

そうは言っても、そんな彼でさえ衝撃的だったみたいで声が細く震えていた。

北「傷つけて流れた、血だと思う。」

ジェ「.....っ..はぁ....」

北「...ジェシー?大丈夫?」

急に俯いて無言になってしまった。
よく見ればガタガタ震えているし、顔色も良くない。

北「体調悪い?!..もしかして、無理させちゃった?」

もしかしたら、本当は調子良くなかったのかもしれないと思うと、申し訳なさが募った。

ジェ「あ...へ.?大丈夫..Hehe..飲みすぎちゃったかなぁっ笑」

北「大丈夫?...ベッド貸してあげるから、横になりな...?」

ジェ「....ごめん...そうさせてもらおうかな..」

寝室に連れていけば、申し訳なさそうにそろそろとベッドに潜り込んだ。

ジェ「ごめんね....」

北「大丈夫だって笑...ほら、寝なさい」

掛け布団を頭まで被せれば、ぎゅうと丸くなった。

ジェ「...じゅりのこと...だいじょぶ..はぁ....あいつとはなすからね」

北「うん。....お願い....」