ご主人様に募われたい。【灰谷竜胆】 (ページ11)

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頭を撫でてやると大人しくなったAの顔を覗きこむと目を瞑り静かに寝息をたてる彼女にため息をつく。先程飲ませたココアの中には睡眠薬が入っていて、こうでもしないとコイツは身体を休められないのだろうと思った俺は半強制的に眠らせることが出来た安堵にAの頭を撫でる。

「…細っせえ」

抱き締めた身体の形を確かめてはそう声を洩らす俺の声もコイツには聞こえていなくて、もっと食べさせるかと考える俺も大概世話焼きなのだと思う。

夜には仕事が入っていたので彼女を一人にさせなくてはならないのだが、ここで起こして彼女を連れて行くのも気が引ける。俺はため息をつきゆっくりと身体を起こすとAに布団をかけてからスーツに手を伸ばし、部下に車を出させる連絡をしてから部屋を出た。

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仕事が思っていたより長引き、穢らしい血が着いた自分のシャツを見ては舌打ちを零す。時刻は既に日を跨いでいて、さすがにAも起きているかと思うと一人にさせてしまった不安が募っていくばかりだった。もし、俺の部屋から抜け出して逃げてたら？

束縛する為に手錠を付けるのも趣味ではないし、そもそもあまりそういう事をしたくなかった俺は心做しか足早に部屋へと向かい半間乱暴に扉を開ける。すぐに靴を脱ぎ、上着をソファーへと投げ出した俺は彼女の待つベッドへと向かうと、未だ体制を変えずにぐっすりと眠るAを見て安堵の息を零す。

すぐにAの傍に横たわって頭を撫でてやると安心しきったように俺の胸板に縋る彼女を見ては思わず笑みが溢れる。

「…かわいい」

初めて見る彼女の顔に心が満たされていく感覚がした俺は心做しか気分が良く、Aを抱き締めたまま深い眠りについた。

▸▸▸Godetia