蒸留酒 ページ49
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「……、」
アンダインがオイラの背中を撫でる。
オイラも水でふやけたAの手を握った。冷たかった。ピクリとも動かなかった。
「…寒いよな。」
ふやけたAの手はまだ若さを強調しており、その反面傷だらけでぼこぼこしていた。
「…っあのね、傭兵くんの体って傷だらけでしょ?でもちょっと気になった傷があって…。」
「…傷?」
「うん…、ニンゲンの骨の名前は分からないんだけど…、フリスクで言うと肩から…この背中の真ん中まで大きな傷があったの、しかも両方に。」
「………。」
背中の傷なんて自分じゃつけられない。それに聞く話だけだけれど相当酷いもの。
誰に付けられた?
ぐぅっぷ、
小さく、息が爆発したような音が聞こえた。
「……、…、A?」
間違いなく、Aが出した音だった。
「…傭兵さん、今ゲップしたの?」
✻ かすかな きぼうが みえて きた。
『____、
ッげ、げえっ!げほ、っげほけほ、えほッ!』
嫌な夢を見た時、ベッドから勢いよく起きることがある。それと同じように、奴は起きた。
口を抑え、入りすぎた水を咳と同時にはき出す。
「…お前さん、大丈夫か?」
「傭兵さん!起きてよかったあ…」
フリスクは安堵の表情で涙をホロホロと流していた。アンダインもパピルスも泣いており、パピルスに関しては大号泣だった。
「にぇえええッ!!ほんとうに、ほんとうによかったよ〜〜ッ!!」
『…………、』
Aはまだ状況が追いついてきてないのか、オイラ達の顔を1人ずつ見て考えるように俯いた。
「……、体調はどうだ?」
『え、…あぁ〜、まあ、平気だよ?』
「…、……、A。アンタの名前だ。…分かるか?」
そう言うとそいつは驚いたような顔をした。
『A、か…、』
「……、」
嫌な汗が頬を伝った。こいつの真っ黒な宝石のような瞳は無く、真っ赤な瞳がこちらを捉えていた。
「…、アンタ、オイラ達の名前が分かるか?」
『………、
あー、生憎ね、全く知らないんだ。』
✻ 予期せぬ事態は、必ず訪れる。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - お騒がせしました、作品シリーズ一覧から飛びますと下書きページに飛んでしまうのでしっかりと下から飛んでくださいな皆様(* 'ᵕ' ) (2021年10月30日 8時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 真面目な話、割とバグらせちゃったから下のこの小説の続編を見るは押さないでね!バグって(自分の頭が)下書き&パスワードつけたまんまで忘れちゃった☆ URL貼っておくのでそちらから飛んでください…!お手数かけます!!アホ抜かしてすいませんしたぁ!!!!!! (2021年10月30日 0時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - アッアッアッ無理ッッ好きッッッ (2021年10月29日 23時) (レス) @page50 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
さき - いやぁ・・・!なんか、もうっ、すごいです!応援してます! (2021年10月29日 22時) (レス) @page50 id: d336e73bb4 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» ありがとう、好ッッッ……(((( (2021年10月28日 6時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胃酸先生。 | 作成日時:2021年9月29日 16時