狼煙。【Undertale】

滲む ページ46

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店を出たのは、もう朝になるぐらいの時間だった。二日酔いのように頭が痛かったけれど、無理言って出てきた。金は払わなくていい、サンズに払わせる、とグリルビーは憎たらしそうにそう言った。

『…ありがとうな。』

「あぁ。…また、とは無いかもしれないが、いつでも来い。」

誘うの下手か、と内心で呟きながらもあぁ、と返事をした。

『さよなら、じゃなくて…、またな。』

グリルビーも同じように返事をした。ちゃんと俺の名前を覚えておいてくれと頭の端でそう言った。









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グリルビーズを出た後、家の方には行かず曲がり角を曲がった。そこを真っ直ぐ行くと、少し崖になった場所に出る。

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『…、人を尾けるだなんていいご趣味してるな、サンズ？』

木の後ろに隠れているであろうサンズに声をかける。返事は無かった。

『……、なあ、どんな悪人でもやり直せると思うか？悪い事を積み重ねてきたとしても、やり直せるチャンスはあると思うか？』

返事は、返っては来なかった。

『…、……、誰にだって、やり直せるチャンスはあった。…それは、俺だって、あいつだって例外じゃない。』

「………。」

足音が、微かに聞こえた。

『…、……、サンズ。』

綺麗で、嫌気がさすほど美しい空が見え始めた。

『…、俺も、諦めたよ。全部。』

✻ …諦めなかったら、もっと楽しいこととか笑えることとか、時には悲しいこととか、見つかると思うんだ。

水面に光と自分の顔が反射する。決して良いとは言えない顔だった。目を瞑った。

『…パピルスに伝えといてくれ。見つかりっこなかった(・・・・・・・・・・)って。』

前に体重を掛けていく。名前を呼ばれた気がしたけれど、振り返る気にもなれなかった。

ぼちゃんという音と共に体に冷たさが滲んでくる。顔、腕、手、指、足、腰、耳、口、鼻。体が鉛のように重い。自分の息がゴポゴポと抜けていく。息が苦しい。鼻も喉も目も痛い。思うように動けない。

戻ったら、戻れたら、地上であってくれ。心の底から願った。









✻この世は色即是空である。










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