生きる意味 ページ43
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なんというか、宗教的というか、そんな内容だった。
『…神によって…創られている…。』
自分の、掌を見た。手袋をしていてもじわ、と手汗が滲んでいるのが分かる。
この話が、本当なら…。
『…ゔ、』
吐き気がして、口元を抑える。くそ、くそ、くそ、
なら、なら俺は、あいつは、ジンは、全部、全部、
意味なんて、__
気づいた時には、雪の上を走っていた。後ろから声がする。なんて言っているのか分からない。息が苦しい。肺と心臓が意志を持って自分とは別の生き物のように動き出している気がした。
背中に硬いものがガツンガツンとぶつかる。痛い、なんて考えている暇は無かった。
『うぐ、ぅ゙…っ』
歯を食いしばって止まりかけた足を殴りつけまた走る。胃液が喉奥から湧き上がってきて口を抑えるもぼたぼたと地面へと垂れる。
「泥棒なのサ!捕まえるなのサ!」
「捕まえるッス!……ん?この匂い嗅いだことあるッス!人間の匂いッス!!」
『…っゔ、どけ、くそ、』
荷物は持ってきていない。完全な丸腰だ。
目の前のフードを被った犬のモンスターは容赦なく斧を振りかざしてくる。それを避けるも後ろから飛んでくる石は俺を狙っており、尖った石が頭に当たる度に顔を顰める。
ざくり
『___あ゙…?』
声には程遠い、掠れた息が洩れた。
咄嗟に後ろを振り返ると、短剣を持った犬がこちらを見据えている。服はパピルスと同じようにセンスがなさそうに見える。
ぐらり、と目の前のものが二重に重なって見える。その場に倒れ込むと悲鳴とも感嘆とも呼べる声が聞こえた。冷たい。寒い。さむい。
「なぁにやってるのーッ!!」
雪すら溶かしてくれそうな元気な声が、意識が途切れる前に聞こえた。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - お騒がせしました、作品シリーズ一覧から飛びますと下書きページに飛んでしまうのでしっかりと下から飛んでくださいな皆様(* 'ᵕ' ) (2021年10月30日 8時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 真面目な話、割とバグらせちゃったから下のこの小説の続編を見るは押さないでね!バグって(自分の頭が)下書き&パスワードつけたまんまで忘れちゃった☆ URL貼っておくのでそちらから飛んでください…!お手数かけます!!アホ抜かしてすいませんしたぁ!!!!!! (2021年10月30日 0時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - アッアッアッ無理ッッ好きッッッ (2021年10月29日 23時) (レス) @page50 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
さき - いやぁ・・・!なんか、もうっ、すごいです!応援してます! (2021年10月29日 22時) (レス) @page50 id: d336e73bb4 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» ありがとう、好ッッッ……(((( (2021年10月28日 6時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胃酸先生。 | 作成日時:2021年9月29日 16時