迎え ページ21
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『…、……っ、平気だ、』
涙が零れそうになり慌てて目元を抑える。あんな夢見なければよかった、くそが。
「…随分と吐いちゃったみたいだねえ、まだ気持ち悪い?」
『……あぁ。』
「ならアルフィーを呼んでくるよ、監視カメラで見てると思うからすぐ来るとは思うけど。」
監視カメラ?一体なんの事だ、と思っている内にまた喉がキリキリと痛んで嘔吐く。黒い袋を渡され、メタトンは部屋を出ていった。
『…ふ、ぅ゙……、』
夢の中で、メタトンは死んだ。
けれど、アルフィー先生は出てこなかった。何故?彼女がいなかったのは何故だ。いや、重要なことでは無いのだろうが。夢の中だったとしても生きていてくれてよかった。
『……フリスク、』
ゔ、と袋の中へと胃酸を吐き出す。口の中が物凄く嫌な味がして、水ですすぎ洗いをした。
「傭兵くん!大丈夫!?!?!」
『先生、声でかいっす。…まぁ、吐くだけ吐いたんで、少しだけ楽っちゃ楽ですけど…、』
「そ、そう…でも、辛いことは辛いんだし、もう少し安静にしてても…。」
『あー、大丈夫ですよ、これ以上迷惑かけるのも気が引けるし。』
水道で口の中を濯ぎ、袖で拭う。
「本当に大丈夫なのかい?」
真面目な口調となり、昨晩のようなおちゃらけた雰囲気は無い。
『あぁ、大丈夫だ。エンターテイナーの傍に置かせてもらってるのは大変光栄だがな。』
サンズあたりが迎えに来てくれるだろうか。吐いたことは言わないでおこう。色々と厄介だしな。
『じゃあ、そろそろ行くよ。ありがとうございました、アルフィー先生、メタトン。』
「グッバーイ!次会うときは元気な姿でね!」
「いっ、いつでも来ていいからね…!」
頭を下げ、扉をくぐる。外はやけに暑苦しい。
「ベストタイミングだな、傭兵さんよ。」
『!』
扉の横に立っていたサンズ。相変わらずこいつの奇妙さというか、食えないというか。
『…サンズ。』
✻ パピルス、おまえもはらへってるか?
キィン、と耳鳴りと共に響くその声。くそ、まだ頭の隅に残ってやがったか。
「随分と体調が悪そうだな?まだ朝だっていうのに。気分でも悪くなったか?」
『…あー、まぁ、そうだな。気味の悪い夢を見ただけだ、大した事じゃない。』
「どんな夢だったんだ?アンタが顔に出るほど苦にしてるって相当だろ。」
そう言われ黙り込む。いくら夢だからといって気分がいいものでは無いだろう。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - お騒がせしました、作品シリーズ一覧から飛びますと下書きページに飛んでしまうのでしっかりと下から飛んでくださいな皆様(* 'ᵕ' ) (2021年10月30日 8時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 真面目な話、割とバグらせちゃったから下のこの小説の続編を見るは押さないでね!バグって(自分の頭が)下書き&パスワードつけたまんまで忘れちゃった☆ URL貼っておくのでそちらから飛んでください…!お手数かけます!!アホ抜かしてすいませんしたぁ!!!!!! (2021年10月30日 0時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - アッアッアッ無理ッッ好きッッッ (2021年10月29日 23時) (レス) @page50 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
さき - いやぁ・・・!なんか、もうっ、すごいです!応援してます! (2021年10月29日 22時) (レス) @page50 id: d336e73bb4 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» ありがとう、好ッッッ……(((( (2021年10月28日 6時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胃酸先生。 | 作成日時:2021年9月29日 16時