相棒 ページ14
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咄嗟に避けるも、反応が鈍っており肩に掠って出血する。手で患部を抑えるもだらだらと血が流れてきた。かなり深く切れたな。
『ッ、くそ』
こいつは、パピルスを知っていた。少なくともパピルスの知り合いなんだろう。
✻ にぇ!やはり傭兵は頭がいいな!オレさまの次に!
くそ、くそ、だめだ。
俺には出来ない。
四方から飛んでくる槍を躱し続ける。攻撃する隙も無さそうだ。
「攻撃をしない?!貴様、私を逃がそうとしているのか?片腹痛い!」
兜を外した奴の顔は魚類を彷彿とさせる。やはり人間とは程遠い耳、ヒレと言った方がいいのだろうか。それに鋭い瞳だ。益々それにしか見えない。
『ッ、戦う気はない、武器を下ろせ』
「…、……、よく聞け…これは貴様の為なのだ…。」
そう言い、また槍を飛ばしてくる。熱のせいだと言い訳がしたくなってくるほど、足取りが重い。
『ッ、く…そ…!』
勢いよく避けた反動で木に肩をぶつけ、よろける。体力はまだまだあるけれど肩の傷の出血のせいか思うように体が動かない。
残りの体力を全て使うように奴の方へ走り出し、拳を握る。それを振り上げ、やつの顔に向かって拳を振り下ろした。
✻ A、俺はやらなきゃいけないからさ。
『っ…!』
拳の力が弱まり、ぼす、と奴の肩を叩いた。どうか、それは出血していた方の腕だったからと言い訳をしたい。
そうであって欲しい。
『…く、そ…。』
目の前がぼやける。
「…は、はは……、貴様はその程度の力なのか!ク、ククッ」
そういい今度は奴が槍を振り上げる。
✻ A、俺はさ、やりたいことがあるんだよね。
『ッ、』
この鎧の人物とは違う、別の誰かの気配を感じる。その気配を隠すような素振りもなく、こちらに向かってきていた。
✻ 最近寒くなってきたからさあ
『ゔ、』
地面の雪に自分の血が滲む。
✻ ニット帽でも編もうかなって思ってんだ。
『…__ッく、そが!!』
あまりに俺は、無力すぎた。そう叫ぶと一気に気配は大きくなりすぐ近くまで来ている。
「喚くな!喚いたとこで何かが変わる訳では無い!」
自分の周りに槍が何本も生み出される。矛先は全て俺の方に向いており、改めて死を悟った。
『___、…!』
喉が息すら拒絶した。空気を薄く感じ、声も息も何もかもが消え失せた。
「アンダインッ!何やってるの!」
幻聴か、パピルスの怒った声が聞こえた。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - お騒がせしました、作品シリーズ一覧から飛びますと下書きページに飛んでしまうのでしっかりと下から飛んでくださいな皆様(* 'ᵕ' ) (2021年10月30日 8時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 真面目な話、割とバグらせちゃったから下のこの小説の続編を見るは押さないでね!バグって(自分の頭が)下書き&パスワードつけたまんまで忘れちゃった☆ URL貼っておくのでそちらから飛んでください…!お手数かけます!!アホ抜かしてすいませんしたぁ!!!!!! (2021年10月30日 0時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - アッアッアッ無理ッッ好きッッッ (2021年10月29日 23時) (レス) @page50 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
さき - いやぁ・・・!なんか、もうっ、すごいです!応援してます! (2021年10月29日 22時) (レス) @page50 id: d336e73bb4 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» ありがとう、好ッッッ……(((( (2021年10月28日 6時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胃酸先生。 | 作成日時:2021年9月29日 16時